【12月3日 AFP】イラン国会議員の半数以上が、女性に頭髪を隠すためのスカーフ着用を義務付ける法律を司法府が適切に執行していないと非難した。国営メディアが2日、報じた。イランでは一部の女性がヒジャブの着用を拒否している。

1979年のイラン革命(イスラム革命)後に制定された規則により、イランではすべての女性が公の場ではヘジャブと呼ばれる頭髪を隠すためのスカーフと身体の線を隠すためのコートの着用を義務付けられている。

だが、大都市、特に首都テヘランでは、多くの女性がスカーフを着用せずに外出している。中には髪を染め、ジーンズを着用するなど身体の線を隠さない女性もいる。

イラン議会通信社(ICANA)によると、同国の国会議員290人のうち155人が、ゴラムホセイン・モホセニエジェイ司法府長官に宛てた書簡で、「司法府が消極的であってはならない」「国会で可決された法律を公布する意志の欠如と、イスラム刑法の不履行が、裸、つまりヘジャブ着用義務の不順守などの異常な行為を助長している」と述べた。

イランで「裸」という言葉は一般的に、不適切とみなされる服装を指す。

国会は昨年、ヘジャブを着用しない、あるいは不適切に着用する女性に対する罰則を大幅に強化する法律を可決したが、マスード・ペゼシュキアン大統領率いる政権は同法の公布を拒否した。

保守派のモハンマドバゲル・ガリバフ国会議長は2日の記者会見で、「ヘジャブ法の公布を追求するやり方は、それが政治問題であり、ヘジャブの原則とは全く関係がないことを示している」と述べた。

ペゼシュキアン大統領は2024年7月に就任して以来、女性にヘジャブの着用を強制することはできないと主張してきた。

この問題は、2022年に22歳の女性マフサ・アミニさんがスカーフのかぶり方が不適切だとして服装規定違反などを取り締まる「道徳警察」に拘束され、勾留中に急死したことを受けて抗議デモが拡大して以来、イランで論争の火種となっている。

一部のイスラム法学者や保守派当局者は、「裸」の流行と欧米諸国の影響の高まりを脅威とみなし、激しく反発している。

当局はここ数か月、ヘジャブの着用規則を順守しなかったり、イランで禁止されている酒を提供したりしたとして、複数のカフェやレストランを営業停止処分とした。

最高指導者アリ・ハメネイ師が2014年に出したファトワ(宗教見解)によれば、女性は顔と手以外が隠れる服装をしなければならない。

だが、最高指導者事務所は先週、6月のイスラエルとの戦争で殺害されたスカーフを着用していないイラン人女性の写真を新聞に掲載したことで、一部の超保守派から非難を浴びた。

問題の写真に写った若い女性はシンプルな帽子をかぶっていて、髪が見えていた。(c)AFP