■常に警戒

ナイジェリアはもともと、特に地方部で拉致事件が相次ぐなど、全土で不安定な治安情勢が続いている。だが、拉致事件は近年急増しており、旅行者たちは不安を強く感じるようになっている。

拉致犯は必ずしも犯行声明を出すわけではない。北西部と中部で拉致を繰り返しているのは主に現地で跋扈(ばっこ)する「盗賊団(バンディッツ)」と呼ばれる重武装した犯罪組織で、村々を襲撃しては略奪したり、住民を殺害したり、身代金目的で拉致したりしている。

エニオラさんが乗るカノ行きのバスの運転士、アダム・イヌサさん(61)は、常に警戒しなければならない現状について説明。

「例えば、急ブレーキをかけるなど、何かが起こると、乗客たちは拉致されるのではないかと驚いて席を立ってしまう」「私たち運転士たちはそんな状況に慣れてしまったし、仕事をやめるわけにもいかない。彼ら(盗賊団)を恐れてはいられない」と語った。乗客たちがおびえていようが仕事を続けているという。

バス会社のマネジャーを務めるサロモン・ザカリアさんによると、バスの利用客数は大幅に減少している。

この治安の悪化と相次ぐ拉致事件を受けて、一部の便を運休しているという。

治安の悪化を受けて、ラゴスを離れられなくなったナイジェリア人もいる。ラゴスでミニバスの運転士を務めるワヒード・シャフェ・オモ・オバさんもその一人だ。

オバさんは、「ラゴスからは出られない。しかし、私たちラゴス市民も、あそこ(北部)で何が起きているのか心配している。彼ら(盗賊団)は本当に同じナイジェリア人なのかと疑ってしまうが、 彼らもナイジェリア人だだ」と述べた。