JICA、「アフリカ・ホームタウン」構想撤回 誤情報拡散で批判殺到
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【9月26日 AFP】国際協力機構(JICA)は25日、国内4市とアフリカ4か国の人材交流を進める「JICAアフリカ・ホームタウン」構想を撤回すると発表した。移民が増えるという誤情報が拡散し、不安を抱いた人々から4市に電話やメールで批判が殺到したためだ。
この構想で、千葉県木更津市はナイジェリア、愛媛県今治市はモザンビーク、新潟県三条市はガーナ、山形県長井市はタンザニアの「ホームタウン」に認定された。4市の職員は対応に追われ、通常業務に支障をきたした。
JICAの田中明彦理事長は記者会見で、「国内で誤解と混乱を招き、その結果、四つの自治体に過大な負担が生じる結果となってしまった」「このような現状を重く受け止め、アフリカ・ホームタウン構想については撤回することにした」と述べた。
田中氏は、JICAはアフリカ地域を含む諸外国との国際交流を促進する取り組みを支援していくと述べる一方、JICAは移民問題を扱っていないと強調した。
日本は先進国の中でも最も厳しい移民政策を維持している国の一つであるにもかかわらず、反移民感情が高まっている。
「JICAアフリカ・ホームタウン」構想は、日本が8月に主催したアフリカ開発会議(TICAD)に合わせて発表された。
職業訓練と文化交流の提供を目的としており、移民の受け入れや特別なビザの取り決めは含まれていなかった。
だが、主にインターネット上で、木更津市、今治市、三条市、長井市にアフリカからの移民が殺到するという虚偽の情報が拡散した。
ナイジェリア政府が「特別なビザカテゴリーを創設する」と誤った発表をしたことや、この構想は日本への移民を促進することを目的としてたものだと主張する一部のメディアの報道やソーシャルメディアへの投稿も、アフリカから移民が殺到するという不安に拍車をかけた。
日本政府、4市、そして主要メディアがこうした主張を繰り返し否定してるにもかかわらず、4市には苦情が殺到し続けている。
日本の政治家は、人口減少が進む日本の経済を活性化させるには若い外国人労働者を必要だと認めているが、永住移民については依然として慎重姿勢を崩していない。
日本の労働力に占める外国人の割合は3%にすぎないが、「日本人ファースト」を掲げる参政党は、移民に対する「より厳格な規則と制限」を訴え、参院選で躍進した。(c)AFP