変わる戦線、変わらぬ韓国統一省…地政学の地図は今、書き換えられている [韓国記者コラム]
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【11月06日 KOREA WAVE】北朝鮮とロシアが軍事協力を深め、砲弾やドローン弾頭、さらには人員までも交換する「戦略的交歓体制」を構築しつつある。朝鮮半島およびインド太平洋地域、ひいては北東アジアにおいて重大な地政学的変化が進行しているが、韓国政府、とりわけ南北関係を主管する統一省は、依然として2018年の南北関係回復の枠組みに囚われ続けている。
北朝鮮は現在、ロシアからエネルギー、食糧、機械設備、さらには需要技術を得ている。対するロシアは対北朝鮮制裁網を迂回した軍需支援を確保している。この相互補完関係は単なる協力を超え、両政権の生存をかけた「血盟」に近い構造に達しているとみられる。
しかし統一省の対応は、この変化に追いついていない。依然として「交流・協力」や「関係改善の模索」といった過去の語彙にとどまり、「国民統合型統一論」などの抽象的表現を繰り返すのみだ。北朝鮮が東アジアでの独自外交を強化し、ロシアとの軍事同盟化を進めているにもかかわらず、統一省は「南北対話再開」ばかりを口にしている。
平壌で最近着工した「海外軍事作戦戦闘栄誉記念館」はこの構図を象徴する施設だ。名目上はロシアの派兵軍の功績を讃える「現代版忠霊塔」だが、実際には北朝鮮がロシアの「特別軍事作戦」を自らの「反帝戦線」として位置付け、それを体制イデオロギーの一部として制度化しようとする試みだ。
キム・ジョンウン総書記が戦死者に勲章を授与し、式典にロシア代表団が同席する姿は、単なる外交儀礼ではなく、共同戦線としての「戦争物語」の構築だ。こうした動きは、北朝鮮が南北関係という二者構造から離れ、国際的な多極外交へと舵を切ったことを意味する。
にもかかわらず、統一省内部ではこの事態を「外務省や国防省の管轄」として線を引く姿勢が目立つ。北朝鮮を外交主体ではなく、あくまで対話の相手とみなす長年の慣習が抜けきっていないのだ。しかし現在の北朝鮮は、ロシアとの軍事同盟によって制裁体制を根本から無力化しようとしている。これは2018年のように対米交渉で制裁緩和を狙った路線とは明確に異なる。
「平昌・板門店・シンガポール」に象徴された当時の三角構図はすでに崩壊している。現状において、南北関係を復元し平和体制を構築するという旧来のアプローチは、もはや現実的ではない。むしろ、こうした固定観念が続く限り、統一省は最も遅れた対北朝鮮分析機関に成り下がりかねない。
今必要なのは「良かった時代」の再現ではない。地政学的地図の再定義だ。
北朝鮮は既に南北の舞台を離れ、多国間の外交演出の中で自らの座標を描き直している。こうした変化を読み取れない統一省は、南北対話の主導権を失い、統一政策そのものの存在意義を問われることになるだろう。
北朝鮮が世界地図を広げながら外交を設計する今日、韓国はなお軍事境界線を中心に地図を畳んでいる。戦線は変わったのに、フレームが変わらない現状は、統一省の再定義と体制刷新が求められることを物語っている。
統一省がこの時代の北朝鮮を正確に読み解けるかどうかは、韓国の外交安全保障政策全体の成熟度を占う試金石となる。【news1 キム・イェスル記者】
(c)news1/KOREA WAVE/AFPBB News