ブラジル・リオ警察の麻薬組織掃討作戦、少なくとも119人が死亡
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【10月30日 AFP】ブラジル・リオデジャネイロのファベーラ(スラム)の住民が29日、警察が過去最大級の麻薬密売人の取り締まりを実施して少なくとも119人が死亡したことを受け、路上に遺体を並べた。この事件により、貧困地域に根を張る麻薬組織との闘いの是非が改めて注目を集めた。
活動家や国連(UN)が警察当局による武力行使に懸念を示す一方、リオデジャネイロ州政府は、麻薬組織「コマンド・ベルメーリョ(赤の司令部)」による地域支配の阻止を目指す作戦の成功を称賛している。
数百万人が暮らす広大なファベーラを拠点とする同組織は、近年リオデジャネイロの広範囲を掌握している。
作戦が行われた翌日、コンプレクソダペーニャ地区の住民らは郊外の森から数十人の遺体を収容した。ある男性は首を切断され、別の男性は顔が判別できないほど損傷しており、住民はまるで「処刑」だと非難の声を上げている。
住民で活動家の一人は「後頭部を撃たれた人、背中を撃たれた人がいる。これは公共の安全とは言えない」と話し、AFPの取材に応じた弁護士は遺体の一部に「焼け跡」があり、手足を縛られていた者もいたと述べた。
当局によると、暫定的な死者数は119人で、そのうち115人が容疑者、4人が警察官だった。一方、貧困層への法的支援を行う州機関は、死者が少なくとも132人に上ると報告している。
作戦には多数の警官が参加し、装甲車やヘリコプター、ドローンがバックアップに入り、ファベーラの通りは戦場の様相を呈した。当局によると、「コマンド・ベルメーリョ」は主要道路を封鎖するため数十台のバスを奪い、爆発物を搭載した無人機(ドローン)で警察官に対する攻撃を仕掛けたという。
クラウジオ・カストロ州知事は、この「麻薬テロ」に対する襲撃は「成功」だったと述べ、犠牲者は警察官のみだと主張した。
ルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ大統領は、連邦政府がこの作戦を事前に知らされていなかったと述べ、驚きを示した。
国連人権高等弁務官事務所は28日、この件に「恐怖」を覚えると非難し、迅速な捜査を求めた。(c)AFP/Ivan PISARENKO and Lucia LACURCIA