95歳祖父を生きたまま焼殺、孫娘に禁錮5年 仏裁判所
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【6月26日 AFP】フランス東部ブールカンブレスの裁判所は25日、寝たきりの祖父のマットレスに火を付け、祖父を生きたまま焼殺した被告に禁錮5年(うち執行猶予4年)を言い渡した。検察は、量刑が軽過ぎるとして控訴していた。
2024年10月、エミリー・G.被告(33)は95歳の祖父を殺害したことを認め、苦しみを終わらせるための「愛の行為」だったと主張。第1審は、5年の執行猶予付き判決を言い渡した。
検察は、被告が祖父を殺害したのは自身の生活でフラストレーションをためていたためだとして控訴。第1審と同じく禁錮15年を求刑していた。
しかし、23日に始まった控訴審で、判事は第1審と同じく禁錮5年を言い渡した。このうち4年は執行猶予で、残りの1年は電子ブレスレットを装着した自宅軟禁となる。
検察は、祖父を殺害したのは「愛の行為ではない」とし、「愛している相手を燃やしたりはしない」と主張していた。
被害者は2020年8月、重度のやけどと煙の吸入により、ベッドで死亡している状態で発見された。
第1審では、専門家にうつ病と診断された被告は、自分の子どもたちを育てながら祖父の世話をし、自分の恋愛関係に疲れ果てていたと主張した。
被告は、パートナーから他に関係を持っている相手がいると知らされた日に、祖父のマットレスにガソリンをかけ、火を付けた紙をベッドに投げ込み、部屋から逃げていた。
被告は、祖父の苦しみを終わらせたかったためだと訴え、前月に祖父から何度も自分を殺してほしいと頼まれ、このことは他の家族には話さなかったと訴えていた。
被告は、控訴審では後悔の念を示し、祖父を焼殺した理由については説明できないものの、「祖父の人生にふさわしい死に方ではなかった。火による死はひど過ぎる、非人道的だ」と述べた。
裁判所は、祖父が「生きることへの疲れ」を抱いているのは認めたが、「積極的なほう助自殺を明確に求めたことは一度もなかった」と結論。
判事は、「極めて重大な」行為であり、「安楽死として正当化することはできない」と判断したとしている。(c)AFP