台湾、中国のスパイ・浸透工作への対応強化 軍人・公務員を調査
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【6月19日 AFP】中国政府が台湾におけるスパイ活動を強化する中、台湾は潜在的な中国シンパ(支持者)を一掃するため、数十万人の軍人、公立学校の教師ら公務員を対象に調査を実施している。
中国は台湾を領土の一部だと主張し、武力による併合も辞さない構えを見せており、台湾では中国による浸透工作の規模に対する懸念が高まっている。
検察は先週、与党・民主進歩党(民進党)を最近除名された元党員4人(総統府の元職員1人を含む)を、国家機密を中国政府に漏洩(ろうえい)した罪で起訴した。
台湾と中国は数十年にわたりスパイ合戦を繰り広げてきたが、アナリストたちは、中国による攻撃のリスクを考えると、台湾への脅威はより深刻だと警告している。
中国による浸透工作の主な標的は、退役軍人や現役軍人で、金銭、脅迫、あるいは親中国思想によって屈服させている。
台湾の主権を公然と訴え、中国政府に嫌悪されている頼清徳総統は、中国を「境外敵対勢力」と位置づけ、国家安全保障を脅かすとされる中国の活動について、台湾人の意識を高めようと努めている。
近年、中国スパイとして起訴される人の数が急増していることを受け、台湾政府は省庁、軍、公立学校の内部において、中国政府に忠誠を誓っている疑いのある人物を特定しようとしている。
公務員が中国の居住許可証などの身分証明書を所持していることが判明した場合、台湾の戸籍、つまり事実上の国籍(市民権)を失うリスクがある。
民進党の王定宇議員はAFPに対し、「中国がこうした手段を使って台湾国民を強制的に従わせ、公務員制度を中心とする台湾の制度に浸透しようとしているため、(中国の身分証明書の)調査を開始した」「脅威はますます深刻化しており、われわれはこれに対処しなければならない」と語った。