■「ダンディ風」

今年のガラおよび企画展のインスピレーションとなったのは、ゲストキュレーターでバーナード大学教授のモニカ・ミラー氏による著書「Slaves to Fashion: Black Dandyism and the Styling of Black Diasporic Identity(ファッションの奴隷――ブラックダンディズムとブラック・ディアスポラ・アイデンティティのスタイリング)」だ。

この書籍は、18世紀ヨーロッパで流行した「ダンディ風」の召使いというスタイルが、いかにして黒人男性に押し付けられたものであったかを詳しく論じている。

しかし黒人男性たちは、歴史の中でその概念を逆手に取り、エレガンスと美意識をアイデンティティの確立や社会的上昇の手段へと転換していった。

1920~30年代のハーレム・ルネサンス最盛期には、黒人男性たちがシャープなスーツと磨き上げられた靴を身に着け、米国社会における人種隔離への抗議の象徴となった。