【4月22日 AFP】米国では21日、ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇の死を悼む声が広がるなか、思想の自由と寛容を訴えてきた教皇の姿勢を、ドナルド・トランプ政権の強硬な政策姿勢と対比する意見も多く見られた。

ニューヨーク・マンハッタンの聖パトリック大聖堂には、カトリック教徒や観光客が次々に訪れ、追悼の祈りをささげていた。

70歳の男性、ピーターさんは「私たちは非常に善良な人物を失った」と語り、教皇について「世の中で多くの人が目を向けない人々──貧しい人々、虐げられた人々、忘れられた人々──そして、許しがもたらす癒やしの力を何より大切にしていた」と述べた。その上で、「今の大統領と政権は、教皇が重視してきた価値観とは正反対の方向へ、この国を導いている」と語気を強めた。

人目をはばからず涙を流していたニューヨーク市民のキャシー・コレッチさんは、フランシスコ教皇を「すべての人の教皇だった」と評し、「あらゆる人を受け入れようとしていた」と称賛した。

「今日は、自分でも驚くほど、とても悲しいです」

民主党の牙城とされるニューヨーク市らしい声もあった。地元住民のマーク・キャリーさんは、「亡くなる前日に(共和党の)J・D・バンス副大統領と会っていたのは、立場や価値観の違いを考えると、ちょっと不思議に感じた」と話した。

バンス氏は、教皇が最後に公式に面会した人物の一人だった。フランシスコ教皇は、復活祭(イースター)のミサに姿を見せ、サンピエトロ大聖堂のバルコニーから3万5000人以上の群衆にあいさつする前、バンス氏と短時間ながら面会していた。

キャリーさんは、「もし教皇が、バンスを諭してくれていたのなら…」と期待をにじませた。