イスラエル軍、ガザ医療従事者殺害「誤り」と認める 赤新月社はうそ非難
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【4月21日 AFP】イスラエル軍は20日、パレスチナ人救急隊員ら15人がガザ地区で殺害された件について報告書を発表し、軍部隊が誤りを犯したことを認めた。これを受け、現場指揮官は解任されるとしている。
一方で軍は、調査では部隊による「無差別射撃」の証拠は見つからず、殺害された者の中には戦闘員も含まれていたと主張している。これに対しパレスチナ赤新月社は、報告書は「うそで満ちている」と非難した。
今回の事件では、イスラエルがガザへの攻撃を再開してから数日後の3月23日早朝、南部ラファ近郊で救助要請に応じて現場に向かっていた医療関係者や救助隊員らが殺害された。
国際的な非難を呼び、国連のボルカー・ターク人権高等弁務官は、戦争犯罪の可能性があると懸念を表明した。
イスラエル軍は報告書の要約で「調査の結果、いくつかの専門的な失敗、命令違反、および不完全な報告が確認された」と指摘。調査を主導したヨアブ・ハルエベン予備役少将は、部隊が誤りを犯したことを認めた。
この事件がイスラエル軍内部にまん延する問題を象徴していると思うかとの記者団の質問に対し、ハルエベン氏は「これはミスだったと言っている。日常的なミスだとは思わない」と述べた。
国連人道問題調整室(OCHA)とパレスチナの救助隊によると、殺害されたのは赤新月社のスタッフ8人、ガザ市民防衛救助機関の6人、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員1人。
パレスチナ赤新月社のユニス・ハティブ会長は、犠牲者の検視結果について「殉教者全員が殺害の意図を持って上半身を撃たれた」と指摘した。
遺体の一部は手錠をかけられた状態で発見されたとの疑惑もある中、軍は報告書に「調査では処刑の証拠や、射撃前後に死亡者が拘束されていたという証拠は見つからなかった」と記した。
報告書は「無差別射撃ではなかったが、部隊は特定した現実の脅威に対応するために警戒を続けた」とし、15人のうち6人が「後の調査でハマスのテロリストと特定された」と付け加えた。イスラエル軍は以前、9人がハマスの戦闘員だと主張していた。
報告書は「無関係の民間人に危害を加えたことを遺憾に思う」としているが、ハマス戦闘員が含まれていたことの証拠は示さなかった。
ハルエベン予備役少将は、死亡者から武器は見つからなかったことを認めた。
パレスチナ赤新月社の広報担当、ネバル・ファルサク氏は「報告書はうそで満ちている。根拠がなく、受け入れられない。これは殺害を正当化し、現場指揮官の個人的なミスに責任を転嫁しているが、真実は全く異なる」とAFPに語った。(c)AFP/Alice Chancellor with Ruth Eglash in Jerusalem