【4月1日 CNS】今年の中国の春節(旧正月、Lunar New Year)休暇の8日間で、80億元(約167億円)の興行収入を達成したのは、大作映画ではなく、最近中国で非常に人気のある動画ジャンル、ショートドラマだった。

 中国の公式の定義によれば、オンライン・ショートドラマは「1話の長さが数十秒から15分程度で、比較的明確なテーマとストーリーラインを持ち、連続性と完全性を備えたストーリー展開」の実写ドラマとされている。このようなドラマは、縦型版(例えばTikTok)と横型版(例えばユーチューブ<YouTube>)に分けられ、ショートドラマ専門のアプリプラットフォームが制作・放送するものや、ショートドラマ制作チームが制作するものが、ティックトック(TikTok)、インスタグラム(Instagram)、X(旧ツイッター)などのプラットフォームに投稿されている。現在、中国ではチーム制作が主流で、抖音(Douyin)や「快手(Kuaishou)」などのプラットフォームに投稿される縦型ショートドラマが主流となっている。

 日本の一部のネットユーザーには、オンライン・ショートドラマはすでに身近な存在になっている。ティックトックでは、タグ#ショートドラマの視聴回数が580億回に達している。日本のショートドラマ業界をリードする株式会社GOKKOが運営する縦型ショートドラマチャンネルの「ごっこ倶楽部」は、昨年11月には全プラットフォームで月間20億回もの視聴回数を記録した。しかし、中国の現在のブームと比べ、日本のショートドラマ市場はまだ成長期にあると言える。

 中国ではオンライン・ショートドラマの発展が数年前から進んでおり、中国の調査機関の「艾媒諮詢(iiMedia Research)」が発表した「2023〜2024年中国ショートドラマ市場研究レポート」によれば、2021年の中国のショートドラマ市場の規模は36億8000万元(約770億円)、2022年は101億7000万元(約2129億円)、2023年は373億9000万元(約7826億円)に急増した。2027年には、市場規模が1000億元(約2兆円)を超えると予想されている。

 ショートドラマが人気を博している理由は、そのスピーディーなテンポと「爽快」なストーリー、そして視聴者の心を癒す価値にある。従来のドラマが十数話にわたって復讐の準備を描くのとは異なり、ショートドラマは「恨みはその場で晴らし、狂気はその場で発散し、自分を苦しめることはない」ことを基本としており、視聴者から高い満足度を得ている。

 日本のショートドラマが主に広告収入に依存しているのに対し、中国のショートドラマは視聴者の購入費を主な収入源としている。例えば、春節期間中に抖音で大ヒットしたあるタイムトラベルをテーマにしたショートドラマは、放送初日に購入額が2000万元(約4億円)を超えた。しかし、中国のメディアによれば、このような売れ筋のショートドラマの撮影時間はわずか10日間で、ポストプロダクション(撮影後、編集から納品までの作業のこと)にかかった費用も8万元(約167万円)程度に過ぎなかったという。

 巨大な経済的利益を背景に、かつて業界から「軽視されていた」オンライン・ショートドラマは、現在では有名な制作チームにより制作されたものもみられるようになった。(c)CNS/JCM/AFPBB News