【12月24日 CGTN Japanese】中国上海にある復旦大学環境科学工学部、復旦丁鐸爾センターの王裕涛教授が率いる研究チームと共著者による、2050年までに世界における製紙産業の地球温暖化ガスの実質ゼロ排出を達成するための各国の差別化戦略を提案する研究論文がネイチャー誌オンライン版に掲載されました。

 製紙産業は、世界の人為的温室効果ガス(GHG)排出の主要な由来の一つと考えられています。同論文は、主要な製紙生産国・消費国30か国を網羅した製紙産業GHG排出量データを初めて示し、製紙産業からのGHG排出の特徴を明らかにするとともに、シナリオ分析研究を通じて各国の事情に考慮した2050年の実質排出ゼロ戦略を提案しました。

 研究によれば、世界の製紙産業は1961~2019年の間に、二酸化炭素に換算して435億トン相当のGHGを排出しましたが、うち100億トン以上は使用や廃棄物の管理段階で形成される炭素ストックによって相殺されました。また、原料収集段階と使用・廃棄物管理の段階でのGHG排出量は総排出量のほぼ半分で、生産段階以外の排出削減の重要性が浮き彫りになりました。

 同論文によると、30か国の製紙業界は2050年までに実質ゼロ排出を達成する見込みで、イタリア、フランス、ノルウェーなどの欧州諸国は製紙産業の実質ゼロ排出達成の難度が比較的低いのですが、発展途上国のほとんどは2050年までの実質ゼロ排出の達成で大きな課題に直面しているとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News