【12月2日 AFP】男子テニスのニック・キリオス(Nick Kyrgios、オーストラリア)は、「痛みに依存」していた人生の「暗い」時代を振り返り、アンディ・マレー(Andy Murray、英国)が自身の自傷行為を察知してくれたことに感謝していると明かした。

 キリオスは近年、メンタルヘルスの問題に苦しんできたことを告白しており、動画配信大手ネットフリックスのドキュメンタリー番組では、2019年のウィンブルドン選手権(The Championships Wimbledon 2019)後に精神科病院に入院したことも明かした。

 コート内外で繰り返し騒動を起こしているキリオスに対し、通算3度の四大大会(グランドスラム)制覇を誇るマレーは、これまで一貫して手を差し伸べている。キリオスの母親は昨年、息子の自傷行為について、自分よりもマレーの方が先に気づいていたと明かしていた。

 キリオスは英テレビチャンネル「トークTV」のインタビューで、「アンディはいつも自分の大きな味方でいてくれた。ツアーに出始めたときから、彼が成長を見守り、面倒も見てくれたんだ」と話した。

 自身が以前に自傷行為に及んでいたときにも気づき、アドバイスを与えてくれようとしたという。当時のキリオスは「聞く耳を持たなかった」というが、そのときのことを「本当に感謝している」と語った。

「プロツアーで優勝し、毎晩のように飲酒や自傷行為をしていた。腕の上で物を燃やしたり、ふざけて自分を切りつけたりした。痛みに依存するようになっていたんだ。自分を憎んでいた。朝起きて、ニック・キリオスでいることが本当に嫌だった」と、キリオスは1年半〜2年続いたという自傷行為をしていた時期を振り返った。

 メンタルヘルスの問題を告白して以降は、ソーシャルメディアを通じて同じような状況に苦しんでいる人々から連絡を受けている。そうした人々を助ける役割は、キャリアの中で「最もパワフルなこと」だと話した。

「彼らはインスタグラムで写真やダイレクトメッセージを送ってきて、自傷行為や自殺願望を訴えてくる。自分はそういう人たちと会話するんだ。電話で話すときもある。それで状況を大きく変えられると自分がとても誇らしい」 (c)AFP