【11月10日 AFP】パレスチナ自治区ヨルダン川西岸(West Bank)で9日、イスラエル軍の急襲によりパレスチナ人18人が殺害された。同自治区の保健当局が発表した。死者の多くは北部ジェニン(Jenin)で撃たれたという。

 AFP記者らはジェニンから立ち上る黒煙を目撃し、複数の爆発音と銃声を聞いた。

 保健当局は、ジェニンではパレスチナ人14人が殺害されたと発表した。国連(UN)の記録によると、イスラエル軍の1回の急襲による死者としては2005年以降で最多だった。

 一方イスラエル軍は、兵士と治安部隊が無人機攻撃や銃撃戦で「テロリスト複数人」を殺害したと発表した。

 兵器を鹵獲(ろかく)し、「すぐに使える状態の爆発物が置かれたトンネルの縦穴」を破壊したという。

 パレスチナ赤新月社(Palestinian Red Crescent)は今回の急襲で「救急車が狙われ」、同社の救急隊員1人が背中を撃たれたと明かした。

 保健当局によると、ジェニン以外に各地で4人がイスラエル軍に殺害された。

 イスラエルは1967年の第3次中東戦争以来、ヨルダン川西岸を占領しており、定期的に軍が各地を急襲している。

 パレスチナ人受刑者を支援するNGO「パレスティニアン・プリズナーズ・クラブ(Palestinian Prisoners' Club)」によると、10月7日のイスラム組織ハマス(Hamas)のイスラエル急襲以降、イスラエル軍はヨルダン川西岸と隣接する東エルサレムで2000人以上を拘束した。

 一方、イスラエル軍は拘束したのは1400人あまりで、大半はパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)を実効支配するイスラム組織ハマス(Hamas)の関係者だと主張している。

 また今回のジェニン急襲では20人を拘束したとしている。

 それぞれの当局によると、先月7日以降、西岸地区では少なくともパレスチナ人180人とイスラエル人3人が殺害された。(c)AFP