【10月29日 AFP】スペイン1部リーグのFCバルセロナ(FC Barcelona)は28日、同日行われた伝統の一戦「エル・クラシコ(El Clasico)」で、レアル・マドリード(Real Madrid)のビニシウス・ジュニオール(Vinicius Junior)に対する人種差別があった疑いがあるとして、調査を開始すると発表した。

 スペインメディアが公開した映像では、1人のサポーターがビニシウスに向かって「サル」と叫び、さらに別の場所からバナナの皮のようなものも投げ込まれたように見える。

 バルセロナはX(旧ツイッター)に「われわれは対戦相手を尊重することなど、サッカーとスポーツの価値観を守っていく。そのため、本日午後のレアル・マドリード戦の試合中、人種差別的な侮辱が発生した可能性がある件を調査する」と投稿した。

 ビニシウスは試合を通じてバルセロナが今季暫定ホームとしているエスタディ・オリンピック・リュイス・コンパニス(Estadi Olimpic Lluis Companys)の観客からやじを浴び、ジュード・ベリンガム(Jude Bellingham)が後半アディショナルタイムに逆転ゴールを決めた後に交代で下がる際には、とりわけいら立った様子を見せた。

 ゆっくりと歩いて戻りながら、スタンドに向き直ってこぶしを突き上げて喜び、カルロ・アンチェロッティ(Carlo Ancelotti)監督に腕を引かれてピッチを離れた。監督は「下がるときの彼は非常に落ち着いていた。私はもう少し早く出るように言い、その手助けをした」と話した。

 試合中のビニシウスは、バルセロナのロナルド・アラウホ(Ronald Araujo)のタックルをめぐってシャビ・エルナンデス(Xavi Hernandez)監督とも言葉を交わした。シャビ監督は「ビニシウスのことは大いにリスペクトしている。彼には、あれはファウルじゃないと言った」と明かした。

 ビニシウスは国内の試合で過去に何度も人種差別の標的になっており、前週のセビージャFC(Sevilla FC)戦でも観客1人が退席させられた。ただし、多くのケースで法的機関による対応は取られていない。(c)AFP