【5月10日 AFP】米国で9日、今年に入って麻疹(はしか)と確認された感染者が1000人を超え、これまでの死者は3人に上ることが州や郡の統計で明らかになった。麻疹はワクチンで予防可能で、米国では排除宣言が出されていたが、現在、再び感染者が急増している。

AFPの集計によると、今年に入ってから感染者は少なくとも1012人報告されており、このうちテキサス州民が70%以上を占めている。特に感染者が多いのは、テキサス州とニューメキシコ州の境界付近で、ワクチンに懐疑的なキリスト教の一派、メノナイトの信者が集まる地域。

米疾病対策センター(CDC)は、ドナルド・トランプ政権が推し進める大規模な人員と予算削減の影響を受け、CDCが管理している連邦のデータベースでは州や郡の報告の集計・更新に遅れが出ている。

フィラデルフィア小児科病院の小児科医でワクチン専門家のポール・オフィット氏はAFPに、「麻疹は人の感染症の中では最も感染力が強いとされ、現在、瞬く間に広がっている」と指摘。

感染しても受診しない人々もおり、実際の感染者数は、報告よりはるかに多い可能性があると警告し、「3人という死者数は、米国の過去25年分の死者数に相当する」と指摘した。

ロバート・F・ケネディ・ジュニア厚生長官は、麻疹、流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)、風疹の新3種混合(MMR)ワクチンの重要性を軽視する発言を続けている。(c)AFP