【10月3日 AFP】パキスタンで、医師と自動車整備士が運営していた臓器密売組織が摘発された。当局が1日、発表した。少なくとも328件の違法腎臓移植が行われたという。

 医療過誤で過去に5回逮捕されている医師のファワド・ムフタル容疑者は、病院から患者を勧誘。自動車整備士に手術助手と麻酔医の代わりを務めさせていた。整備士の氏名は公表されていない。

 パンジャブ(Punjab)州のモーシン・ナクビ(Mohsin Naqvi)知事によると、手術は民家で行われ、中には患者自身が把握していないケースもあった。腎臓は一つにつき、最高で1000万ルピー(約520万円)で売られたという。

 逮捕されたのは男8人。組織はパンジャブ州に加え、係争地カシミール(Kashmir)地方のうちパキスタンが実効支配する地域で活動し、少なくとも3人が死亡したとされる。

 ナクビ氏は1日夜の記者会見で「判明した事実と数字におののいている」としながらも、「臓器移植と違法手術はこれよりはるかに多い。これは確認が取れた件数のみだ」と説明した。

 パキスタンでは、2010年に臓器売買が違法化された。海外への臓器の売却と仲介業者による搾取を抑止するため、関与した者には禁錮10年に加え、多額の罰金が科せられる。

 パンジャブ警察は今年1月にも、別の臓器密売組織を摘発。その際には、行方不明になっていた14歳の少年が、地下施設で腎臓を摘出された状態で見つかった。(c)AFP