【9月28日 東方新報】今年中国では中秋節の祝日が新暦9月29日の金曜日に当たり、10月1日の日曜日から始まる国慶節休暇と合わせ8連休のゴールデンウイークとなる。

 旅行に出かける人が多い中で、旅行者がまず打撃を受けるのは宿泊先の驚くほどの価格高騰だ。

「連休で洛陽市(Luoyang)に行こうと思ったら、ホテル代が5倍に値上がりして、これでは公園のベンチで寝るしかないね」「9月27日分までは200元(約4079円)台だったホテル代が、翌日から1600元(約3万2639円)以上に値上がりした。わずか一晩の宿泊費が毎月の家賃より高いなんて、もう家で寝ている方がましだ」、大手SNSのプラットフォームを開くと、連休中におけるホテル代の急騰への嘆きであふている。

 どこへ旅行に行く人が多いのか、ビッグデータで調べてみると、9月11日までの時点で全国の航空券の予約状況のトップ3は上海市、北京市、成都市(Chengdu)だった。そのうち北京市では前門(Qianmen)、天壇公園(Tiantan Park)、天安門広場(Tiananmen Square)、王府井(Wangfujing)などの商業地区にホテルの予約が集中している。

 オンライン予約サイトで検索した連休中における前門地区のホテルの価格は、13日時点で軒並み大幅に値上がりしていた。「ザペニンシュラ北京(The Peninsula Beijing)」の例では、デラックスダブルベッドタイプの部屋が、通常は2630元(約5万3650円)のところ、国慶節期間中は3738元(約7万6253円)まで値上がりしていた。

 上海ディズニーランド(Shanghai Disneland)も安定した人気を誇る観光地だが、オンライン予約サイトで「上海ディズニーランドホテル(Shanghai Disneyland Hotel)」のデラックスガーデンビューツインの部屋が、17日の宿泊分では2482元(約5万631円)なのに対し、連休期間は5634元(約11万4931円)と2倍以上の値上がりとなっている。

 19回アジア競技大会(19th Asian GamesAsiad)で盛り上がりを見せる浙江省(Zhejiang)杭州市(Hangzhou)では、「クリスタルオレンジホテル(Crystal Orange Hotel)杭州浜江オリンピックセンター店」の畳(たたみ)キングベッドタイプが通常361元(約7364円)のところ、993元(約2万256円)と3倍近く値上がりしていた。

 このような状況下で、宿泊費の数倍の値上がり以外に、かねて問題視されていた「ホテルや民宿側からの一方的な予約取り消し」という現象がまた目立つようになってきた。ネットユーザーの書き込みを見ると、「メンテナンス中」「空室無し」「すでに先約あり」「価格システム未更新」など取り消しの理由説明はマチマチだ。

 上海に暮らす吉(Ji)さん(仮名)は、国慶節連休で山東省(Shandong)沂水県(Yishui)の旅館を7泊予約していたが、「部屋がありません」という理由で取り消しを要求された。ところが、吉さんが予約プラットフォームを見てみると、その旅館にはまだ部屋が残っている上に、宿泊料が大幅に上がっていた。プラットフォーム側の説明では「部屋はまだあるが、国慶節の宿泊費高騰で旅館側が契約を履行したがらない。最初の1泊分の宿泊費を賠償するなどの提案を言ってきている」という。

 吉さんはプラットフォーム側と何度も交渉を重ね、領収書に基づいて全額400元(約8159元)余りの補償を勝ち取ったが、これでも問題の解決にはならない。付近の宿泊施設の部屋代は、もはや7泊で1500元(約3万599円)以上になっているのだ。結局のところ客が損をすることになる。

 ある弁護士は「ホテルが季節や祝日などで料金が変動するのは市場原理として正常だが、ホテル側が一時の利益のためにむやみに値上げを行えば、旅行産業への波及的な悪影響が大きい。一定の合理的範囲に収めるべきだ」「また消費者はプラットフォームで予約をした時に『予約確認票』を受け取っており、その時点で宿泊契約が成立している。それ以降のホテル側からの予約取り消しや価格値上げは違約行為に当たる」との見解を示す。

 中国消費者協会と中国飯店(ホテル)協会は、「宿泊施設経営者は互いに連絡して市場価格を操作してはならない。信用原則を守り、悪意による契約不履行をしてはならない」という指導文書を公布した。

 また両協会は、消費者に対しても「悪意による契約不履行に遭遇した時は消費者協会など関係部署に通報して、自身の権益を守ってほしい」と提唱している。

 連休中の旅行関連の市場価格の規律保持に関する通達は、安徽省(Anhui)、青島市(Qingdao)、福州市(Fuzhou)でも公布されている。

 福州市では関連5部門の連名文書を出し、「ホテル・宿泊施設の経営者は、予約プラットフォームなどを通した予約注文の成立後に、勝手な契約破棄や料金値上げを行ってはならない」と警告している。(c)東方新報/AFPBB News