【9月30日 CGTN Japanese】中国では、仕事が忙しい若い夫婦のために、祖父母が孫の世話をすることが一般的です。しかし、中国南西部の四川省（Sichuan）に住む段さんは、娘の子の世話を長年してきたのに報酬を得られなかったとして、娘夫婦を相手に2018年2月から2023年7月までの孫の養育費として19万2000元（約380万円）の支払いを求める裁判を起こしました。

　四川省広安市（Guang'an）広安区人民法院（裁判所）はこのほど、娘夫婦が段さんに養育費8万2500元（約160万円）を支払うよう命じる判決を言い渡しました。裁判所によると、段さんの娘とその夫は成都市で働いており、仕事が忙しくて子の世話をする時間がなく、子どもは乳幼児の時期から祖母の段さんに世話をしてもらっていました。

　段さんと娘は子どもの養育問題について「合意書」を締結しましたが、娘の夫は知らなかったとのことです。また、胡さんは、「合意書」で定めた養育費を段さんに支払っておらず、段さんは何度も催促しましたが、胡さんが対応しなかったために裁判を起こしました。

　裁判所は、娘夫婦は自分の子に対する養育と教育、保護の権利と義務があり、しかも養育能力を備えている一方、祖母の段さんには孫を養育する法律上の義務はないと判断しました。裁判所はさらに、娘夫婦は該当期間中に段さんが孫の養育に必要とした費用を全額支払うべきとした上で、段さんが主張した19万2000元については、実情を調べた結果、高額すぎると判断して、娘夫婦に段さんに対して養育費8万2500元を支払うことを命じる判断をしました。双方は控訴しないと表明し、娘夫婦側は判決が言い渡された法廷で、関連費用を支払うことを約束しました。

　子どもの父親である朱さんは、「段さんが孫の養育費を要求したのは、私たち夫婦の離婚紛争がそもそもの原因だ。段さんは、本当は私を訴えたかったのだ」と話しました。

　同件はネットユーザー間で話題になりました。一部のユーザーは「祖母が自分の娘を訴えるなんて、ひどく傷ついただろう」と、ため息をつくようなコメントをしました。一方で、年老いた祖母が子育てを助けるのは大変な苦労なので、若い夫婦は費用を支払うべきだと主張する投稿もありました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News