動物の王国、世界の花園 野生動植物を保護する中国雲南省
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【9月27日 東方新報】中国南西部の雲南省(Yunnan)には多くの少数民族が暮らしており、異国情緒や文化の多様性は中国人の旅行客さえもひきつける。だが、多様なのは民族や文化だけではない。豊かな自然に恵まれた雲南省は、世界36の生物多様性ホットスポットの一つに含まれ、「動物王国」や「世界の花園」あるいは「種の遺伝子バンク」などと称されるほどだ。
その多様性を未来につなげるために、現存する生物を乱獲や乱開発、気候変動の脅威から守るのは現代に生きる人類の共通の課題だ。
その重要性を改めて感じさせる出来事があった。雲南省北西部に位置するデチェン・チベット族自治州(Diqing Tibetan Autonomous Prefecture)のハバ雪山自然保護区では80台の赤外線カメラを設置し、ハゲワシなど国家1級保護の対象動物を含め23種の野生動物をモニタリングしているという。
そうした中で最近、巡回員が赤外線カメラの映像を確認したところ、国家2級保護の対象動物に指定されているチュウゴクゴーラルが写っていたのだ。中国中央テレビ(CCTV)が放送した映像では、カモシカに似たチュウゴクゴーラルが数頭で木々の間を歩き、立ち止まって周りを見回す愛らしい様子が写っていた。木の根をぴょんと飛び越えるおちゃめな姿もあった。保護スタッフによれば、チュウゴクゴーラルは海抜4000メートル以上の山地に生息し、単独または小さな群れで生活。早朝や夕暮れに活動して草木や果実を食べるという。
また、別の自然保護区、雲南省南西部に位置する南滾河では、国家1級保護動物に指定されているウンピョウが夜間に活動する様子が撮影された。野生のウンピョウは100頭ほどしか生息していないとみられており、極めてまれなことである。当該地域の生態環境が改善され、食物連鎖などにおいてウンピョウなどの希少動物が生息しやすい条件が整いつつあることの兆しとみられている。
一方で、保護されるべき野生動物が食用や漢方薬の原料として密猟や密売の対象となる事件が絶えないのも残念な事実だ。
今年2月には、雲南省普洱市(Pu’er)のラオスとの国境付近で不審な車からハッカン、インドキョン、ハクビシンなどいずれも国家2級保護に指定されている野生動物の死骸11体が押収された。出入国検査を回避できるような山道に不審なオフロード車が停止しているとの通報を受け、警察が駆けつけたところトランクから野生動物の死骸が見つかった。違法に売買しようとしたものとみられる。
雲南省では動植物の保護の一層の強化を目指し、今月初めに対象のリストを公開し意見公募を行っている。それによれば、今後26種の野生動物と72種の野生植物を重点保護の対象に加える予定だ。(c)東方新報/AFPBB News