殷初期最大の水系遺構 中国河南省・鄭州で確認
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【9月17日 CGTN Japanese】中国中部に位置する河南省(Henan)の文物考古研究院がこのほど発表した情報によると、河南省鄭州市(Zhengzhou)にある殷の時代(中国では一般的に「商」と呼ばれる)の都市遺跡「鄭州商城遺跡」に対する考古学発掘では、これまでの発見の中で、殷代(紀元前約1600~1046年)初期の最も規模の大きい水系の遺構が新たに発見され、「鄭州商城」南部のレイアウトに対する専門家の認識を充実させたということです。
今から3600年余り前の「鄭州商城遺跡」は鄭州市の旧市街の中心部に位置し、総面積は25平方キロメートルに達し、殷王朝初代の王である湯王が都とした「亳(はく)」で、黄河流域を中心とした殷文明の源流がここにたどり着くとされています。
考古学者は「鄭州商城遺跡」の南東エリアで、殷初期に建設されたものとされる3カ所の用水路を発見しました。これらの用水路はいずれも台形の断面をしており、うち1カ所は自然の川筋をベースに手を加えられたもので、もう2カ所は完全に人工的に建設されたものです。これまでに明らかになった用水路の総延長は約540メートル、幅は最も広いところで約12メートル、最深部は4メートルほどになっています。
河南省文物考古研究院の楊文勝副院長によると、ほぼ同じ時期の「偃師商城遺跡」の水系と比べ、新しく確認された「鄭州商城」の水系は規模がより大きく、流域の範囲がより広いということです。そのうち1カ所の用水路では、考古学者は人工の排水溝および分流用の石積み遮水施設などを発見し、殷初期の「鄭州商城」の水系にすでに複雑な機能設計が運用されていたことが明らかになっています。また、一部の用水路の両側では、土を強く突き固める方法で建設した版築建築物や青銅器鋳造工房、骨器工房の遺跡も見つかりました。
「鄭州商城遺跡」南東エリアの水系が北部の池ともつながっていることから、水系の水は住民の生産・生活用水の需要を満たすだけでなく、観賞用でもあることが分かっています。河南省文物考古研究院鄭州ワークステーションの責任者である楊樹剛氏は、「この大規模な水系は排水と都市区画の機能を兼ね備えている。その発見は、『鄭州商城』の全体的なレイアウト、特に南部のレイアウトに対するこれまでの認識を塗り替えた」と説明しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News