【9月7日 東方新報】早くて便利なネットショッピングは中国でも大人気。人びとが宅配便の受け渡しをする光景を日常的に目にする。たくさん注文しすぎて頼んだ商品を忘れてしまうなんてことはありがちだが、全く心当たりのない荷物を受け取ったら注意が必要だ。

 ある男性は、心当たりのない宅配便の小包を受け取った。開けてみると中には傘が入っていた。家族に確かめても購入した覚えはない。傘にはQRコードがついた賞金の抽選カードが添えられていた。

 別の女性が受け取った宅配便に入っていたのは、傘ではなく箸だった。さらに大手ネットショップと関連があるかのように表記されたスクラッチカードが添えられていた。スクラッチカードを削ると20元(約403円)とプレゼントが当たった。プレゼントを受け取る手続きのため、さらに添えられたQRコードをスキャンするよう指示されていた。

 実はこれらは中国で最近多発している新手の詐欺である。先の男性が受け取った荷物のラベルには「第231/500個」と印刷されていた。男性は500人中231番目の「獲物」だったと推測される。

 手口は共通している。身に覚えがない宅配便が届く。開けてみると中にはちょっとしたプレゼントが入っている。商品はさまざまだ。マグカップやスマホスタンド、抱き枕やタオルなどもある。中には牛乳一箱が届いた例もある。

 宅配業者自体は正規の会社、届いた商品はそれなりに値が張りそうなものもある。詐欺グループ側が、被害者を信頼させるためにそれなりのコストを払っているのは確かだ。

 そうした商品に同封されているスクラッチカードは必ず当選する。そして信頼した被害者にQRコードをスキャンさせ、詐欺グループが作ったSNSのグループチャットに加入させた上で、投資名目などで金をだまし取るのだ。典型的なスタイルとしては、グループチャットは5人組で残りの4人はもちろんサクラ。そして、被害者のせいで残り4人が利益を得られないというようなプレッシャーをかけ、罠(わな)にはめていくという。

 身に覚えのない小包を開けたら、国家市場監督管理局や教育省など公の機関を装い、「料金の払い戻しに応じる」という書類が入っている例も多く報告されている。書類は偽物、これも詐欺の手口である。

 広東省(Guangdong)広州市(Guangzhou)に住む男性もそんな宅配便を受け取った。開けてみると、過去に参加した教育機関から「授業料を戻す」という内容の書類だった。男性は書類に記されていたQRコードをスキャンして払い戻し、希望者のSNSのグループに加入。手続きに従って投資信託のアプリをダウンロードした。カスタマーサービスの指示に従ってアプリに100元(約2018円)を入金すると、260元(約5247円)が返金された。男性はこれですっかり信用してしまった。

「学費の払い戻しは金融取引のキャッシュバックとして行われる」という説明で、男性は自身の銀行口座から4回に分けて入金としたという。しかし、払い戻しどころか入金した金も戻ってこなかった。合わせて9万4000元(約189万円)をだまし取られてしまった。

 警察をはじめ、ネットショッピングやSNSの会社でもこうした手口の新たな詐欺への警戒を呼びかけ、安易にQRコードをスキャンして背景が不明なアプリのダウンロードやグループチャットへの参加を控えるよう注意を促している。(c)東方新報/AFPBB News