猛暑の重慶が「夜間経済」を奨励 夜の観光・消費スポットににぎわい
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【7月28日 東方新報】坂道の多い地形と豊かな歴史が魅力の都市・中国内陸部の重慶市(Chongqing)。真夏の最高気温が40度を超える日もあり、武漢市(Wuhan)、南京市(Nanjing)と並び「中国3大かまど」と言われている。その重慶市は今年に入り、暑さが比較的やわらぐ夜間の消費を奨励する施策を打ち出している。
軽食や土産店が多く高層ビル群を眺められる長江(揚子江、Yangtze River)沿いの繁華街・南岸区の竜門浩老街や、伝統的な景観が魅力の十八梯・山城巷伝統風貌区など夜間の観光も楽しめるスポットとして整備。昔ながらの街並みをそぞろ歩きしつつ、汗をかきながら本場の火鍋料理を味わい、庶民に人気の相声(漫才)を楽しむことができる。
多くの屋台が並ぶ「夜市」も各地でリニューアルした。南岸区南浜路の定期市では、住民や観光客が屋台で手作りの湯円(もち米で作った団子)をほおばったり、路上にテーブルを並べてお茶や炉端焼きを楽しんだりしている。
以前からのナイトスポット「洪崖洞」も、欠かせない観光地として毎晩人出でにぎわう。斜面に長い柱を立てて高低差をなくし床を作る重慶伝統の建築様式「吊脚楼」を利用した商業施設で、飲食店や土産店、劇場、ホテルなどがひしめいている。日本のアニメ「千と千尋の神隠し」のようだと話題になったことも。夜のライトアップが美しく、昼間以上に撮影に訪れる人が絶えない。
各地では夜を楽しむイベントも行われている。二十四節気の一つで「小暑」の7月7日夜、重慶市彭水ミャオ族トゥチャ族自治県(Pengshui Miao and Tujia Autonomous County)にある蚩尤九黎城(しゆうきゅうれいじょう)で、「渝東南生態民族観光文化フェスティバル」が開幕。同自治県はミャオ族の住民が大半を占める「ミャオ族の里」と呼ばれ、きらびやかな民族衣装をまとったミャオ族のファッションショーや伝統の歌と踊りを披露している。
重慶市九竜坡区の巴国城広場では7月8日から31日まで、「2023重慶国際ビール文化フェスティバル」が開催。夏の暑さを忘れさせるビールを楽しみつつ、グルメや自動車、生活をテーマにしたイベントも開かれている。
夜間に外食や観劇、観光などを楽しむ「夜間経済(ナイトエコノミー)」は、中国政府も2019年に消費喚起策として奨励していた。2020年からのコロナ禍により中断を余儀なくされたが、厳格なコロナ規制が緩和されて各地で復活するようになった。うだるような暑さが続く重慶市にとって、涼を取りながら消費を楽しむ夜間経済はうってつけ。他の都市に負けじと官民一体で取り組んでいる。(c)東方新報/AFPBB News