日焼け対策は「塗る」から「隠す」へ 中国で売れる「奇妙」な衣料品
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【7月28日 東方新報】最高気温が40度を超す地域もある猛暑の中国。日焼け止めクリーム、スキンケアなどが売り上げを伸ばしているが、それ以上にヒットしているのが日焼け止めの衣料品や関連商品だ。つばの長い帽子に特大のサングラス、歩きやすい運動靴、そして日焼け止め用の衣服という姿の市民を多く見かけるようになった。
特に日焼け止め衣服は「奇妙」なものも多い。つばの付いた帽子と上着が一緒になっている上、顔の下半分を覆うマスクも一体という上半身をほぼ隠すタイプ。例えると、ゴルフのキャディさんがマスクをしているイメージだ。また、フェイスパックのように目の部分以外を覆い、さらに口元から首、肩、胸にかけて広がったマスクもある。これはまるで「ナゾの修行僧」のようないでたちだ。
さらには、帽子とワンピースが一体の服で、顔も黒いシールドで覆い、スカートの下に両脚の日焼けを防ぐパンツをはいてと、全身すべて隠すタイプも。こちらは「ナゾの武道家」「オシャレな養蜂家」とでも言おうか、表現が難しい。
ネットの通販サイトではモデルがこうした商品をまとっているので何となくサマになっているが、街角で見かけると不思議感はぬぐえない。中国メディアは「猛暑が限界を超え、日焼け対策は『塗る』時代から『隠す』時代になった」と指摘している。
6月18日を中心に行われる中国最大級のネット通販セール「618商戦」で、今年は日焼け止め衣料品に特化したメーカーが爆発的な売り上げを占めた。それに負けじとばかりファストファッションや下着ブランド、アウトドアメーカー、スポーツ用品メーカーなどが次々と日焼け止め衣料品を販売している。
中国では近年、キャンプブームが起きており、ランニングやパドルボードなどの運動も人気となっている。このため、日焼け止め衣料品は若い女性だけでなく、男性や子ども用のものも多く売れている。
日焼け止め衣料品ブームに対し、警鐘を鳴らす専門家もいる。中国では「紫外線防御品」の基準を「UPF値(裸の時に比べ、布で紫外線の影響を低減させる程度)が40以上、かつUVA(紫外線A波)透過率5%未満」と定めている。基準を満たしている衣料品はタグに「UPF40+」といった表記がされているが、基準を満たさずに販売している「名ばかり日焼け止め衣料品」も少なくない。
また、医師からは「日焼け止め化粧品を頻繁に使ったり、全身を隠して太陽光を浴びなかったりするとビタミンDが不足し、カルシウムの吸収に影響が出て骨がもろくなり、免疫力の低下にもつながりやすい」という指摘がされている。
日焼け止め衣料品は200~400元(約3942~7884円)、帽子は150~200元(約2956~3942円)、マスクや手袋、サングラスなどは各100元(約1971円)が相場で、一通りそろえると結構な出費となる。値段の張る人気商品を購入し、「全身を覆うことはできたが財布の中身はなくなった」という笑い話もある。
なけなしのお金をはたいたが日焼け止めの効果は期待ほどではなく、さらに健康に支障が出るとなれば、全くの逆効果。業界の統一基準の制定や行政の指導が必要とされている。(c)東方新報/AFPBB News