【7月4日 AFP】ロシア独立系紙ノーバヤ・ガゼータ(Novaya Gazeta)の調査報道記者エレナ・ミラシナ(Elena Milashina)氏が、同国南部チェチェン(Chechnya)共和国で武装集団に暴行を受け、入院した。人権団体「メモリアル(Memorial)」が4日、明らかにした。

 メモリアルはソーシャルメディアに「エレナ・ミラシナ氏は複数の指を折られ、意識を失う時もある。体中にあざがある」と投稿した。

 事件は4日早朝、ミラシナ氏と弁護士のアレクサンドル・ネモフ(Alexander Nemov)氏が空港から移動している際に発生した。

 メモリアルによると、「両氏は顔などを激しく蹴られた。殺すと脅迫され、頭に銃を突き付けられた。機材は取り上げられ、壊された」という。

 別の人権団体「CAT」は、入院中のミラシナ氏の画像を公開。頭髪はそられ、顔などに緑色の液体が付着し、両手に包帯が巻かれている。

 ノーバヤ・ガゼータのドミトリー・ムラトフ(Dmitry Muratov)氏は、2021年にノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)を受賞している。同紙も、ミラシナ氏が暴行を受けた事実を認めた。

 ミラシナ氏は長年、チェチェン共和国における人権侵害の取材を続け、記者として受賞歴もある。同氏とネモフ氏は現在、同共和国の首都グロズヌイ(Grozny)で入院しているという。

 ノーバヤ・ガゼータは昨年2月、ミラシナ氏について、チェチェン指導部から殺害予告を受けたため、一時的に出国を余儀なくされたと発表していた。2000年以降、同紙の記者と寄稿者計6人が死亡している。(c)AFP