NZ首都、100年ぶりにキウイ再導入
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【5月23日 AFP】ニュージーランドの国鳥キウイが、首都ウェリントンの緑豊かな丘におよそ100年ぶりに戻ってきた。首都とその周辺から捕食者となる外来種を排除する努力が実った形だ。
1000年前のニュージーランドは正真正銘の「鳥の楽園」だった。だが、1200年代にポリネシア人が移り住み、その数百年後に欧州人がやって来ると一変した。
船に乗っていたネズミは固有種の鳥などを捕食した。さらに、あらゆる種や木の実を食い荒らし、固有種のえさが激減した。
ウサギは瞬く間に繁殖し、農地を食い荒らした。さらにウサギ駆除のために導入されたイタチが、ミソサザイやツグミ、フクロウやウズラを捕食した。
固有種で飛べないフクロウオウム(カカポ)やキウイの個体数は激減した。
自然保護当局の推計では、野生のキウイは約7万羽しか残っていない。
だが、現在、全国で90以上の民間団体が保護活動に取り組んでおり、個体数は再び増加傾向にある。
その一つが、政府からの多額の助成金や個人の寄付で運営されている慈善団体「キャピタル・キウイ・プロジェクト(The Capital Kiwi Project)」だ。
プロジェクトの発起人でリーダーのポール・ウォードさんはキウイについて、「マオリ(Maori)神話の中心的存在だ。ラグビーなどのスポーツチーム、軍、そしてニュージーランド人自身も海外で『キウイ』と呼ばれている」と話した。
「キウイはタフで、強くて適応力がある。私たちがニュージーランド人らしさだと思う価値を備えている。だが、ニュージーランド人の大多数はキウイを見たことがない」
ウォードさんは、ウェリントン地域では野生のキウイは100年以上前に消えたと考えている。
キウイ保護には継続的な活動が不可欠だった。
プロジェクトではまず、飛べないキウイの天敵対策に取り組んだ。
ウェリントンに住む犬の飼い主を対象に、散歩の際に犬がキウイに近づかないようしつける講座を開いた。
また、ウェリントンを取り囲む山のサッカー場4万3000面分の面積に4500個のわなを設置。これまでにイタチ1000匹が捕獲された。
プロジェクトは昨年11月、第一陣を放鳥した。
第一陣のキウイは、飼育地から500キロ離れたウェリントンの学校に移送され、伝統的なマオリの儀式が執り行われた。
定期検診では、第一陣の生育は順調であることが分かっている。
ウォードさんによると、今後5年でキウイ250羽が放鳥される予定だ。
キウイ特有の甲高い鳴き声がウェリントン郊外の日常生活の一部となることが願いだという。(c)AFP/Ryland JAMES