【4月12日 CGTN Japanese】中国科学院古脊椎動物・古人類研究所によりますと、同研究所と英ブリストル大学の共同で、広西チワン族自治区内で出土した古代魚の化石を研究した結果、甲冑魚の一種である九尾キツネ甲冑魚だと確認されました。全長約10センチの小型甲冑魚で、全身が細かいひし形のうろこに覆われており、4億1000万年前の古生代デボン紀早期に生息していたとされています。甲冑魚尾びれの化石が完全な状態で発見されたのは、世界初です。関連する研究成果は、中国の総合的な英字学術誌である「ナショナル・サイエンス・レビュー(National Science Review)」の公式サイトで公開されています。

 研究スタッフによれば、九尾キツネ甲冑魚の名称は、中国古代の地理書「山海経」に登場した伝説上の上古の神獣「九尾のキツネ」から取ったものです。尾びれが甲冑魚に良く見られる斜めにゆがんだ形をしている上に、9本の指のように枝分かれしており、伝説上の「九尾の狐」の尻尾と似ていることからの命名とのことです。

 尾びれが完全な状態で保存されていた今回の化石は、甲冑魚の化石では完全な尾びれ部分がなかったという、これまでの研究上の欠落を補填しました。生物学や古生物学では、ある種の生物種に学名を与える際の基準にする標本1点をホロタイプと呼び、それに準じる一群の標本をパラタイプと呼びます。今回得られたホロタイプとパラタイプでは、甲冑魚の尾びれの収縮と拡張という異なった状態が保存されており、甲冑魚の尾びれの形態の詳細を最大限に明らかにできるとみられています。

 研究チームは、化石の尾びれの幾何学的な形態を調べて遊泳速度を分析した結果、甲冑魚は素早く泳ぐことに長けていたことが分かりました。通常の遊泳速度は、さらに進化した顎口類の魚類よりも速いことが判明したとのことです。この発見により、初期の脊椎動物についての有力な仮説であった、食物を獲得しやすい方向、すなわち遊泳速度がますます速くなる方向に進化して顎口類が出現したという説が覆されました。

 分析により、これらの無顎の甲冑魚は有顎の魚類の登場以前に、すでに一定の生態多様性を形成しており、これらの原始的な甲冑魚は後に出現した顎口類よりも、生態的地位において、一層優れた運動の優位性を獲得していたことが示されたとのことです。(c)CGTN Japanese/AFPBB News