【3月29日 CGTN Japanese】「月に帯水層はあるか。あるとしたら、どこにあるか」――。中国の無人月探査機「嫦娥5号(Chang'e-5)」が採取した月面サンプルによってこの問題が解明されつつあります。27日付の国際的な学術誌「ネイチャー・ジオサイエンス」に掲載された文章によれば、中国と英国の学者が月探査機「嫦娥5号」が採取したサンプルの「衝突ガラスビーズ(衝突ガラス小球)」の中から水を検出したほか、ガラスビーズの中の水の含有量は外縁から中心部に向かって徐々に減少している傾向も突き止めました。科学研究チームは、太陽風中の水素イオンがガラスビーズに注入され、内部で拡散して保存されたと推測しています。

 宇宙空間で隕石や小惑星が月に衝突すると、月表面の土や岩が溶けて飛び散って液滴を形成し、その液滴が冷えることで「衝突ガラスビーズ」が形成されます。「嫦娥5号」が採取したサンプルの中には、ガラスビーズが多く存在していました。

 人類は過去20年間の月探査により、月面で大量の水の痕跡を発見しています。研究者は、太陽風中の水素イオンが、月面物質中の酸素と結合し、水酸基もしくは水分子を形成し、月表面の水循環を維持していると考えています。

 研究者の間では、「月の土壌の奥深くに帯水層は存在する。まだ発見されていないだけだ」との見方があります。

 中国科学院地質・地球物理研究所、中国科学院大学、南京大学、中国科学技術大学などの研究機関の研究者と英国の研究者が共同で「嫦娥5号」の月サンプルに含まれる32個の均質な「衝突ガラスビーズ」を詳しく分析した結果、ガラスビーズの平均水分量は0.05%に達することが分かりました。ここでいう水とは、通常の意味の水ではなく、ガラスビーズの中に存在する水素のことで、この水素は一定の反応によって人々が利用できる水に転換することが可能です。今回の研究で発見された新たなメカニズムにより、「衝突ガラスビーズ」が蓄水の「宝庫」であり、月表の水循環を維持できるものと判明しました。(c)CGTN Japanese/AFPBB News