地下室の夫婦たち ウクライナ侵攻で深まる絆、時にあつれきも
このニュースをシェア
■「自分一人だったら耐えられなかった」
オレクサンドル・シレンコさんとタマラさん夫婦は、まきを割り、それを積み上げることをストレス解消法としている。まきはいくらでも必要だ。
それでも8か月も2人で地下室にこもっていれば影響はある。
シレンコさんは「最初はもちろん、ひたすら一緒にいることが苦痛だった。『毎日かゆを食べれば、数日後にはスープが欲しくなる』という格言があるように」と語った。
だが真剣な声で、タマラさんがいなければもっと悲惨な生活になっていただろうと言う。
「たとえ妻がずっと不平不満を漏らしているだけでも、少なくとも地下室に誰かがいる。そうでなければ、何も聞こえず、しゃべらず、じっとしているだけになる」
シレンコさんは毎日、糖尿病を患っているタマラさんのむくんだ足に包帯を巻く。シレンコさんは妻を介助できるのを誇りに思っているようだった。
「彼女は、自分が冗談ばかり言うやつだって知っている。戦争中でもそうでなくても、誰にでも冗談を言う。(妻を)落ち込ませたりはしない」
タマラさんも「自分一人だったら耐えられなかった」と同意した。
口論になる時はあるものの、夫婦のどちらかを亡くした人たちよりも自分たちははるかに幸運だと2人はうなずき合った。(c)AFP/Robbie COREY-BOULET