【1月18日 東方新報】中国が新型コロナウイルス対策としてベトナム国境で行っていた入国時の隔離措置が1月8日から解除され、中越国境は3年ぶりのにぎわいを見せ始めている。

 1月8日午前9時、ベトナム北部クアンニン省モンカイ市の国境ゲートが開くと、ベトナムで働いている多くの中国人が広西チワン族自治区(Guangxi Zhuang Autonomous Region)東興市(Dongxing)に向かった。「終于回国了!(ついに帰国できた)」とあちこちで喜びの声が飛び交った。

 広東省(Guangdong)掲陽市(Jieyang)出身の柳小新(Liu Xiaoxin)さんもその1人。ベトナム北部ハイズオン省でプラスチック事業に従事し、以前は年2回帰国して両親や妻、子どもたちと会っていた。「2019年7月にベトナムに向かったのを最後に、3年以上も帰国できなくなるとは想像もできませんでした」。長く夢見た帰国が決まると、「直前の2日間、ほとんど寝られなかった」という柳さん。ようやく祖国の土を踏むことができ、「3年以上も家に帰れず、こちらの仕事も忙しかったし、子どもがいま何年生かも分かりません」と苦笑しながら、自宅へと急ぎ向かった。

 コロナ禍の最中も中国への帰国は可能だったが、ベトナムに出稼ぎをしている中国人にとって、隔離期間の長さと費用がネックとなっていた。

 林満蓮(Lin Manlian)さんは昨年6月、ベトナムから江西省(Jiangxi)の実家に戻った際、1か月の隔離措置を受け、各種費用などに1万元(約19万円)を費やした。1月8日に国境ゲートを超えた彼女は「今回は隔離措置もPCR検査もなく、ようやく実家で春節(旧正月、Lunar New Year=今年は1月22日)を祝うことができます」と笑顔を浮かべた。

 1月8日は雲南省(Yunnan)河口ヤオ族自治県(Yao Autonomous County of Hekou)とラオカイ省ラオカイ市の国境でも、PCR検査が不要に。同県に住む周利浜(Zhou Libing)さんはベトナム人の妻や子どもと一緒にベトナムに入った。入国審査は1分もかからなかった。「妻の実家に久しぶりに行って、一緒に春節を過ごします」と周さん。妻はベトナム側に入り、お祝いの花束を渡されると涙を流していた。

 国境ゲート前では早朝から、何百台ものトラックが長蛇の列を作っていた。貿易のための車両の往来が認められ、運転手たちは「もう防護服を着る必要も隔離措置をない」と喜びの声を上げた。

 国境を越えられるのは当面、中越双方の帰国者や貿易従事者らに限られている。観光旅行が今後、全面的に認められれば、中越両国にとって経済回復の大きな足がかりとなる。東興税関サービスセンターの陳暁(Chen Xiao)主任は「コロナ禍以前の往来が戻る日は近いと信じています」と話している。(c)東方新報/AFPBB News