【1月7日 AFP】ロシアによる侵攻で大きな被害を受けたウクライナ東部ドネツク(Donetsk)州リマン(Lyman)。市内に残る数少ない子どもの一人であるリサ・シュタンコさん(8)は、ぬかるんだ道端に立ち、通り過ぎるウクライナ兵たちを眺めていた。

 街には暖房も電気もほとんどなく、友人の多くはとうの昔にいなくなった。この日の朝には、自宅の前に砲弾が落下した。父親で電気技師のビクトルさん(42)が見守る中、リサさんはAFPに「きょうは砲撃のせいで楽しくない」と語った。

 前線の町で暮らす子どもたちは、絶え間ないストレスにさらされており、専門家は長期的な障害が生じることを懸念している。

 シュタンコさん一家が住むリマンは、ロシア軍の4か月間にわたる占領で大部分が廃虚と化し、周辺の森は地雷原になった。ウクライナ軍は10月に同市を奪還したが、近くでは戦闘が今も続いている。

「娘はもちろん怖がっている」とビクトルさんは言う。「死が身近に潜んでいることほど怖いものはない。でも、私が付いているので大丈夫だ」

 1月7日の旧暦のクリスマスには、少しは戦争のことを忘れられるかもしれない。だが、ビクトルさんが娘に与えられるおもちゃは、人道支援団体から寄付されるものだけだ。

 こうした苦難から、子どものいる家族は相次いで同市を去った。6歳の娘を持つコスチャ・コロウキンさんはAFPに対し、多くの家族にとっては「戻る理由がない」のだと語った。

 コロウキンさんは、自分には行き場がないと吐露した。娘のナスチャさんはほとんどの時間を地下室で過ごし、たまに野良犬しかいない街中に出ている。時にはインターネットに接続できる唯一の場所である6階へ行き、オンラインで授業を受けることもある。