中国「ダブルイレブン」大セール、合理的な消費と国産ブランドの台頭
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【12月5日 CNS】11月11日を中心とした中国最大のオンラインショッピングセール「双11(ダブルイレブン)」が今年も行われた。独り身のイメージがある「1」が並ぶことから当初は「独身の若者が自分へのごほうびを買う」セールとして始まり、次第に国民的イベントに発展した。
ダブルイレブンは2009年のスタートから14年目を迎えたが、今年は例年に比べて「静けさ」が目立った。中国政府が節約、倹約を奨励していることを背景に、大手EC(電子商取引)企業はダブルイレブンを盛り上げるイベントを開催せず、SNSのホットサーチにも関連ワードはランクされなかった。
大手ECは、売上額を逐一報告するリアルタイム中継もしなかった。阿里巴巴集団(アリババグループ、Alibaba Group)は「今年のセールは安定しており、取引規模は昨年と同じレベル」とし、京東(JD.com)は「今年は業界の成長率を上回り、新記録を打ち立てた」と発表した。ただ、中国国家郵政局によると、「ダブルイレブン」の日に全国で配達した荷物は5億5200万個。日常の取引量の1.8倍だが、昨年より20.6%も減少した。
ダブルイレブンは、「合理的な消費」が主流になりつつある中国の消費スタイルの変化を反映している。京東のリポートによると、大量の買いだめをせず、長いスパンでメリットをもたらす健康、教育、スポーツ分野の消費が人気を集めているという。
業界関係者は「手頃な価格で高品質の製品が、今年のダブルイレブンのキーワードになった」と分析する。家庭消費の割合が大幅に増加し、食品、生鮮食品、日用品、家電製品などは品質重視や用途の細分化の傾向が見られる。
京東によると、ゲーム機能付きテレビとハイエンド床洗浄機の売り上げは昨年に比べて180%と400%急増している。価格よりもブランドを重視する消費者が増えている。
また、中国の国産ブランドが今年も台頭した。アリババのオンラインサイト「天猫(Tmall)」では国産ブランドの検索が42%増加。天猫のダブルイレブンセールが始まった10月31日夕方、開始1時間で売上高が1億元(約19億1652万円)を超えた102ブランドのうち、半分以上を国産ブランドが占めた。京東のプラットフォームでは華為技術(ファーウェイ、Huawei)、小米科技(シャオミ、Xiaomi)、栄耀(HONOR)のスマートフォンなどがわずか1秒で1億元の売上高を突破した。消費者の「ダブルイレブン」ブランドの注目度に関するメディア調査では、スポーツウェアブランドの安踏(Anta)がナイキ(Nike)とユニクロ(Uniqlo)を上回り、小米と華為がアップル(Apple)を上回った。
衣料品から化粧品、デジタル家電などの分野に至るまで、中国ブランドは「コストパフォーマンス」や「先端」の代名詞になりつつあり、若者に歓迎されている。アディダス(Adidas)のカスパー・ローステッド(Kasper Rorsted)CEOは「中国の消費者は変化しており、グローバルブランドより国産ブランドを好むようになっている」と語っている。
専門家は「国産ブランドは品質、技術、デザインにおいて絶え間なく進化していると信頼されており、インターネットのライブ販売も追い風となって若者たちが購入している。以前は、高価な海外ブランドを購入することが消費のアップグレードと考えられていたが、現在は製品の使い勝手とコストパフォーマンスが重視され、国産ブランドが台頭している」と説明している。(c)CNS/JCM/AFPBB News