■「決して無駄にはならない」

 バフムートでは最近、ウクライナ軍がロシア軍から奪還した南部ヘルソン(Kherson)近郊の戦線から配置転換された救急隊員たちが到着した。その多くにとって、バフムートの戦闘はこれまで見た中でも最悪のものだった。救急車の運転を担当する隊員は「ここに来る前、私たちはヘルソン周辺で任務にあたっていた。大変だったが、これほどではなかった」と語った。

 ヘルソンの解放後、激戦地はバフムートのある東部ドンバス(Donbas)地方に移った。前線が狭く、部隊が密集しているため、ドンバス地方の広大な草原地帯や松林、バフムートなどの都市の周辺では激しい戦いが繰り広げられている。

 パリチさんら救急隊員はこの過酷な役割を、戦線強化に貢献するものとしてとらえている。「後に部隊に加わる兵士の命を一人でも救うことができれば、私の仕事は決して無駄にはならない」(パリチさん) (c)AFP/David STOUT and Elizabeth STRIY