【12月1日 AFP】カナダ・ケベック(Quebec)州で、農場から牛の群れが逃げ出して自由を満喫しており、大騒ぎになっている。

 すべては今夏、モントリオールから車で北に1時間半ほどの場所にあるサンバルナベ(Saint-Barnabe)の農場から、約20頭の牛が壊れた柵から逃げたことから始まった。

 柵から出ると、隣接するサンセベル(Saint-Severe)の、追っ手も入れないようなうっそうとした森に素早く逃げ込んだ。

 サンセベルの自治体職員マリーアンドレ・キャドレットさんは、牛は「日中は森の中に隠れ、夕方になるとさっと出てきて建物に近づき、袋を開けて作物を食べようとする」と話した。

 当局は、野良牛がどこの管轄か判断できず対策を講じなかった。このため、牛たちはこれまで自由を謳歌(おうか)できたという。

 キャドレットさんはラジオ・カナダ(Radio-Canada)のインタビューで、脱走から数か月後に警察から「われわれは牛を殺処分できる」と伝えられたと語った。「われわれって誰のことと言い返した。職場には毎日私しかいない。私はワンピースを着るし、ハイヒールも履く。牛狩りに行くつもりはない」と笑った。

 このインタビューはソーシャルメディアで拡散された。

 逃走中の牛の群れはまだ人に慣れていない若い牛ばかりで、ほぼ野生化してしまった。このため、当局が助けを求めた近所のロデオ愛好家のカウボーイらも捕獲に失敗した。

 ここ数日で野良牛の一団に関する報道が増えたことから、ケベック州の農業省はついに、「複雑で前例のない状況」を解決すべく介入を決めた。

 今後は餌で牛をおびき出し、捕まえる作戦だ。(c)AFP