【11月29日 東方新報】中国ではさまざまな商品の海賊版、つまり模倣品や偽造品が横行し、警察や行政による摘発が続いている。今年2月に行われた北京冬季五輪でも公式マスコット「氷墩墩(Bing Dwen Dwen)」が爆発的人気となると、すぐに偽物のおもちゃが登場。製造・販売していた容疑者はスピード審理で懲役1年、罰金4万元(約78万円)の実刑判決を受けた。

 各地の警察や市場監督部門は海賊版の摘発キャンペーンを行い、その「成果」を発表している。

 上海市では押収した海賊版は衣類、靴、帽子、電化製品、電子機器、自動車部品、建材、食品、酒類、医薬品、化粧品など多岐にわたり、その量は300トン以上。金額にして5000万元(約9億7049万円)に上る。

 海外ブランドの模倣品は相変わらず多い。広東省(Guangdong)の司法部門などは、ポルシェ(Porsche)、BMW、ゼネラルモーターズ(General Motors)などの自動車部品の模倣品、プーマ(Puma)、アンダーアーマー(Under Armour)の偽ブランド品を摘発した。

 海賊版には「聖域」はないとばかりに、なんと教育図書の海賊版も全国各地で製作されている。天津市(Tianjin)、四川省(Sichuan)、湖北省(Hubei)などの警察は15件で53人を摘発。全国31か所のアジトから印刷機器79台、教育図書274万冊を押収した。

 かつて中国の海賊版と言うと、ポロシャツやロレックス(Rolex)など海外ブランドの偽物ばかりが並ぶショッピングセンターや、世界の有名映画、音楽を集めたDVD、CDショップなどが堂々と店を構えていた。北京には日本人駐在員とその家族が「愛用」していた店も存在した。2008年の北京夏季五輪を境にそうした店は姿を消していったが、最近はオンラインショップやインターネットのライブ配信を通じた海賊版ビジネスが目立っている。

 中国ではインフルエンサーらがライブ中継で商品を宣伝する商法が浸透。伝統的に口コミを重視する社会で、市民の主要な購入ルートの一つとなっている。安徽省(Anhui)では、有害の恐れがある材料を含んだ自称「健康食品」を無許可で製造・販売したとして33人の容疑者が逮捕された。食品はライブ配信で宣伝し、オンラインサイトで販売していた。福建省(Fujian)でも、ライブ配信とオンラインサイトを使い、帽子やセーターなどのニセブランド品を製造・販売した容疑者25人を逮捕した。

 かつて海賊版が横行した海外のドラマやアニメは、中国のプラットフォームが正式に契約してインターネットで配信するようになるなど、以前の「海賊版大国」から変化は見られている。それでも新たな形の偽物ビジネスが登場し、摘発を続ける「いたちごっこ」が続いている。(c)東方新報/AFPBB News