デンマーク代表、人権擁護シャツの着用認められず FIFAが却下
このニュースをシェア
【11月11日 AFP】デンマークサッカー協会(DBU)は10日、W杯カタール大会(2022 World Cup)の練習中に選手が人権擁護のシャツを着用するという要求が、国際サッカー連盟(FIFA)によって却下されたと発表した。
DBUの広報担当者はAFPに対し、デンマーク側は「Human Rights for All(全ての人に人権を)」と書かれたシャツの着用を求めていたものの、FIFAによって取り下げられたと明かした。
DBUは政治的なメッセージではないと異議を唱えているが、罰金や処分を避けるためにFIFAの決定に従うという。
開催国であるカタールは、W杯に向けた大規模なインフラ整備プロジェクトに関わる移民労働者の待遇や、女性やLGBTQ(性的少数者)の人権をめぐって批判を浴びている。
カタールでのW杯開催に長く反対してきたDBUは、開幕が20日に迫った本大会で人権擁護の急先鋒(せんぽう)に立ちたいと考えていた。
DBUのディレクターを務めるヤコブ・イェンセン(Jakob Jensen)氏は、同国リツァウス(Ritzau)通信に「FIFAに要求を送ったが、反応は否定的なものだった。残念に思っているが、それを考慮に入れなければならない」とコメントした。
DBUは以前、練習用のシャツに「批判的メッセージ」を掲出し、スポンサーを務める国営宝くじのダンスケ・スピル(Danske Spil)、銀行のアーバイダネス・ランズバンク(Arbejdernes Landsbank)の2社も、ロゴが置き換えられることに合意したと発表していた。
イェンセン氏は「私にとってこれは、普遍的な人権に関して極めてシンプルなメッセージが書かれたシャツ」と続けた。
いかなる政治的メッセージの掲出も禁止しているFIFAは前週、W杯の出場国に対して「サッカーに集中」し、「あらゆるイデオロギーや政治的紛争」に引き込まれないようにしてもらいたいと呼び掛けた。
同国スポーツ用品メーカーのヒュンメル(hummel)はカタール当局への「抗議」の意を込め、本大会でデンマーク代表が着用するユニホームにプリントされている同社のロゴのトーンを落としていた。(c)AFP