【9月29日 AFP】デンマークのスポーツ用品メーカーのヒュンメル(hummel)は28日、サッカー同国代表がW杯カタール大会(2022 World Cup)で着用するユニホームを発表し、カタールの人権問題に対する抗議の意を込め「トーンを落とした」デザインにしたことを明かした。

 11月20日開幕のW杯用につくられたユニホームでは、ヒュンメルとデンマークサッカー協会(DBU)のロゴがほとんど見えない。 

 ヒュンメルはインスタグラム(Instagram)で、新ユニホームのデザインは「カタールと同国の人権に関する記録への抗議」であると投稿。カタールの巨大インフラ計画で命を落とした移民労働者に触れ、「われわれは何千人もの命を犠牲にした大会の期間中、人の目に触れることを望んでいない」と説明した。

 さらに、「われわれはデンマーク代表チームを全力で応援しているが、それとカタールを開催国として支持することは別だ」とし、赤のファースト、白のセカンドに続く黒のサードユニホームは「哀悼」を示すものであると明かした。

 これに対して大会組織委員会は、移民労働者の待遇改善の取り組みを「軽視する」動きだとしてヒュンメルを非難。数千人の死者を出しているという同社の主張も否定し、DBUに介入を求めた。

 大会出場国や人権団体からはカタールの人権状況と、同性愛が違法の保守的な同国での大会開催を許した国際サッカー連盟(FIFA)に批判の声が上がっている。

 カタール側は、八つのW杯スタジアム建設期間中に業務上の事故で亡くなったのはわずか3人だったと主張しているが、対象を限定して過少報告していると指摘されている。(c)AFP