【11月10日 CNS】東アジアの3か国には、それぞれ独自の伝統衣装がある。日本には着物、韓国には韓服、中国にはチャイナドレスと漢服がある。日本や韓国に比べ、中国の伝統衣装の認知度や普及率は相対的に低かった。しかし、近年はこの状況が変わり、伝統衣装を着て外出する人が増え、横目で見られることはなくなった。伝統衣装に対する民衆の受容度が高まり、「新中国風コーディネート」というトレンドが生まれた。

 いわゆる「新中国風コーディネート」は、中国の伝統衣装の要素を、現代の衣装スタイルに融合させ、日常着のニーズや大衆の美意識に合致させたものだ。中国と西洋の要素を衝突させることで、中国風の古典的な雰囲気を残しつつ、モダンな感じを醸し出し、ゆったりとした感覚を際立たせ、日常生活に溶け込ませている。

 ひらひらと舞い踊るような伝統衣装は、見た目は風流で颯爽(さっそう)として見えるが、実生活で着るには不便な点がある。中国の電子商取引プラットフォーム淘宝(タオバオ、Taobao)の婦人服スタイル運営責任者は、新中国風衣装は中国の要素を装飾として使用するだけにして、儀式感や大げさな感じを控えれば、さらに日常着として適したものになるとみている。

「私自身は、漢服にシャツやサスペンダー、ズボンを合わせたり、伝統的なチャイナドレスに短いデニムのトップスとハイトップのキャンバスシューズを合わせたりする。中国服がより多くの人の目に触れ、受け入れられるためには、日常着に取り入れなくてはいけない」と、中国のネットユーザーは語った。

 天猫(Tmall)が8月に発表した「2022年淘宝天猫アパレル業界トレンド白書」によると、「新中国風」は今年の秋冬の9大スタイルトレンドの一つとなり、トレンド指数で3位にランクインしていることが分かった。淘宝のプラットフォームでは、新中国風スタイルの検索数がうなぎ登りに上がっており、2022年上半期の検索伸び率は、前期比380%を超えた。

「新中国風コーディネート」の流行以前は、チャイナドレスやチャイナジャケットなどの伝統的な中国衣装は「古臭い」とみなされ、中高年の消費者を対象としていた。しかし、強烈なスタイルだが控えめな「新中国風コーディネート」は、中国の若者を虜にし、服への個性化のニーズを満たしている。データによると、新中国風衣装の主な消費者は成年女性で、その45%は25〜34歳、22%は18〜24歳であることが分かった。主に女性ユーザーが利用するライフスタイル共有プラットフォーム小紅書(Red)では、「新中国風コーディネート大賞」というトピックが、8000万回以上も再生された。(c)CNS/JCM/AFPBB News