【10月30日 AFP】11月にサッカーW杯(2022 World Cup)が開幕するカタールで、当局が首都ドーハ中心部の建物から大勢の移民労働者を強制的に退去させていると現地の住民らが話し、カウントダウンが始まった大会にまたしても暗い影を落としている。

 住民によると、市の職員と警備員が26日遅くに10以上の建物へ入り、住民を退去させて立ち入りを禁じたという。政府は、建物は「住めない」状態で、通知はきちんと出しており、住人にはすべて別の「安全で適切な居住場所」を見つけてあると話している。

 主に影響があったのは、このところ大規模な再開発が進むアルマンスーラ(Al-Mansoura)周辺。W杯期間中には、一部のファンがこの地区のアパートに滞在する予定で、通りには10台以上のショベルカーが止まっている。

 29日に取材に応じたバングラデシュ出身の運転手ユヌスさんは、追い出されてからの3日間は通りに止めた平床トラックの荷台で夜を明かしていると告白し、「1晩目は大混乱で、みんなよそへ行こうにも場所が足りなかった」と話した。部屋を追い出されるのは、この3年間で3回目だという。

 アルマンスーラで24時間営業の店を経営している南アジア出身の男性は、二つの建物から人々が退去させられるのを見たと話した。男性によれば、労働者のほとんどは家賃を払っておらず、賃貸契約も交わしていないという。匿名を条件にAFPの取材に応じた同男性は、「彼らは基本的に不法占拠者だ。何か月か一か所にとどまり、それから別の場所へ移されていく」と語った。

「今回の場合は、W杯と非常に近いタイミングというのが実にまずかった」 (c)AFP