【10月29日 AFP】中国共産党が発表した新体制で、政治局員24人の中で唯一の女性だった孫春蘭(Sun Chunlan)副首相(72)の名前がリストから消え、党幹部の女性が約20年ぶりにゼロになった。3期目入りを果たした習近平(Xi Jinping)国家主席が権力を集中させる中、指導部における男女平等の不均衡が明確に示された形だ。

 中国共産党中央委員会で新たに選ばれた委員205人のうち、女性はわずか5%。最高指導部を構成する7人の政治局常務委員はこれまで通り男性のみで、党の始祖である毛沢東(Mao Zedong)が明言した「女性が天の半分を支える」という言葉からは程遠い。

 保健政策を担当していた孫氏は新型コロナウイルスの感染が拡大する中、各地の都市に足を運んでは厳しい措置を命じて「ゼロコロナ」政策の顔となり、「鉄の女」と呼ばれるようになった。

 しかし、男性の縁故主義が幅を利かせ、性差別が根強く、有望な女性のキャリアを阻んできた中国の政界において、孫氏のような例は珍しいと専門家は指摘する。

「中国共産党が唱える女性の権利は、経済的権利の向上に近いと思います」と豪シドニー大学(University of Sydney)の上級講師、ミンルー・チェン(Minglu Chen)氏は言う。「いわば女性も賃労働に参加させよということです」

■女性は家庭生活を優先すべし

 女性の政界進出が少ないのは中国に限ったことではない。社会保守主義が浸透し、女性の権利運動が抑圧されている社会では、女性はキャリアより家庭生活を優先させるべきだという考えに縛られてきた。

 急速に高齢化が進む中国では、政府が女性に出産を奨励し、こうした考えを助長してきた。働く女性を支援する政策がないこともあり、特に多くの若い女性の間では「良妻賢母と優秀な労働者という二つの役割はこなせないと悩む声が多い」とチェン氏は言う。

 しかも、非公式なコネづくりの多くは、ほぼ男性ばかりが集まる酒席で行われているという。