【10月25日 CNS】ソーシャルメディアプラットフォームの普及に伴い、「ネット人気スポット」として売り出される目的地が増え、それに伴う課題も出てきている。

「身近な人気スポットの発掘」は、レジャーやエンターテインメントへの国民の硬い要求となっており、新たな「アクセス獲得の秘訣(ひけつ)」にもなっている。優れた写真や動画、生き生きとした説明が、小紅書(Red)や抖音(Douyin)などのSNSプラットフォームによって、「ネット人気」スポットとして売り出され、多くのユーザーの外出の意思決定を左右している。2019年、旅行関連コンテンツは小紅書で最も伸びたカテゴリーとなった。北京比達コンサルティング(BigData)が発表した「2020年上半期中国旅行業発展分析報告」によると、ユーザーが最もよく利用するオンライン外出意思決定プラットフォームは小紅書でシェア63.7%、2位は抖音でシェア56.5%となった。

「ネット人気」スポットの範囲はますます幅広くなっている。小紅書で「打卡地(人気スポット)」を検索すると、152万件以上の関連メモが見つかり、抖音の「ネット人気スポット」のトピックに関する動画再生回数も76億6000万回に達している。

 そうした中、ネット人気スポットの安全性も解決すべき問題として浮上してきている。2022年8月、「ワイルド」なネット人気スポットだった四川省(Sichuan)彭州市(Pengzhou)竜門山鎮(Longmenshan)の竜漕溝付近で鉄砲水が発生し、多くの死傷者が出た。

 さらに、キャンプブームの広がりとともに、観光客が開発・管理する人がいなかった「ワイルド」な景勝地で自然を体験する行動が増え、安全上の問題が生じている。例えば、今年の夏休み、北京のある川辺が、小紅書や美団(Meituan)などでの「人気スポット」となった。公共トイレやごみ箱防護施設などもなく、管理人やレスキューもおらず、安全の保証が難しい場所だった。それでもキャンプやパドルボードをする人が多く、親が子供を直接水に入れて遊ばせている旅行記もネット上で多数見受けられる。また、多くの観光客が訪れることで、地域の生態環境が損なわれ、ごみが放置され、地域住民の生活にも影響を与えている。キャンプ場に関するおすすめでは、「ニッチ」、「管理する人がいない」などが人気のキーワードとなっている。

 ネット人気スポットの混乱を受け、当局の関連部署も是正に乗り出し、民間の「人気スポット」が主要な取り組みの対象のひとつとなった。文化・観光部は9月、「民間の人気スポット問題に関する特別是正事業方案」を発表し、2022年9月から11月まで民間の「観光スポット」問題への特別是正事業を行うことを宣言した。

 当局は、管理・開発・運営する人がいなかった「ワイルド」な観光スポットの管理も強化している。例えば、北京郊外にある「ネット人気」廃坑や、前述のような川沿いのキャンプ場では、現地の警備スタッフが配備され、訪問者に注意し、来させないようにしている。(c)CNS-新京報/JCM/AFPBB News