【10月19日 AFP】インドネシアは旧宗主国のオランダに対し、植民地時代に取得した「ジャワ原人」の骨など少なくとも8点の美術品や自然史資料を返還するよう求めている。

「ジャワ原人」は初めて確認されたホモ・エレクトスの一種。オランダ・ライデン(Leiden)の自然史博物館(Naturalis)のコレクション中最も重要なものとされている。

 同館は、オランダ人解剖学者で地質学者のウジェーヌ・デュボア(Eugene Dubois)がインドネシア・ジャワ(Java)島で1891~92年に見つけた大腿(だいたい)骨とほぼ完全な頭蓋骨を所蔵している。発見当時、インドネシアはオランダの植民地だった。

 オランダ日刊紙トラウ(Trouw)によると、インドネシアはこのほか、19世紀に植民地政策を進めるオランダに反乱を起こしたディポネゴロ(Diponegoro)王子の乗馬用の手綱、「ロンボク(Lombok)の宝」と呼ばれる黄金製の装身具の返還を求めている。

 オランダの教育・文化・科学省の報道官は18日、インドネシア政府から夏ごろに要請があったと明らかにした。政府が設置する委員会が12月から調査を始め、同省への提言をまとめると説明したが、提言提出の具体的な時期には言及しなかった。

 自然史博物館はトラウ紙に対し、「インドネシアの主張は理解できる」とした上で、自然史資料を文化財と同じように考えていることに驚いたと話した。デュボワがいなければ、ジャワ原人の頭骨は見つかっていないだろうと付け加えた。

 インドネシアは3世紀にわたりオランダの植民地だった。第2次世界大戦(World War II)中は日本の占領下にあったが、1945年8月に独立を宣言。オランダと独立をめぐり戦争となり、オランダは1949年に独立を承認した。(c)AFP