【1月14日 AFP】オランダのウィレム・アレクサンダー国王(King Willem-Alexander)は13日、人種差別をめぐる議論の的となっていた「黄金の馬車」について、使用を休止すると発表した。

 問題視されているのは、車体の左側面に描かれた奴隷の絵。カカオの実やサトウキビなどの作物を、黒人がひざまずいて白人領主に献上する様子が描かれている。

 中央には、オランダを象徴する白人女性が玉座に着き、その横に立つ若い白人男性が黒人少年に本を手渡している。制作者は1896年に、これは「文明」を表していると語っていた。

 国王は公式動画の中で「われわれは過去を書き換えることはできないが、共に受け入れる努力をすることはできる。これは植民地時代の歴史にも言える」と話した。

 その上で「黄金の馬車は、オランダの準備が整うまで使用されない。そして、今はまだその時ではない」と明言した国王は、「日常的に差別の痛みを感じる人々がオランダにいる限り、過去は現在に影を落とす」との考えを示した。

 米国で「Black Lives Matter(黒人の命は大切)」運動が巻き起こって以来、他の欧州諸国同様、オランダでも過去の植民地主義や奴隷制をめぐる議論が再燃している。(c)AFP