【4月27日 AFP】干ばつに見舞われているアフリカ南部ボツワナで、絶滅危惧種のカバの群れが干上がった水辺の泥にはまり、命の危機にひんしている。自然保護当局が26日、AFPに明らかにした。

 アフリカ南部は現在、エルニーニョ(El Nino)現象による深刻な干ばつに見舞われており、農作物の不作と数百万人規模の飢餓の脅威にさらされている。周辺国の一部は災害緊急事態を布告している。

 ボツワナ北部に位置する広大なオカバンゴ湿地帯(Okavango Delta)ではタマラケイン川(Thamalakane River)が干上がった影響で、カバの群れが観光都市マウン(Maun)に近い水場に移動せざるを得なくなっている。

 ボツワナ野生生物・国立公園局の広報を担当するレセゴ・モセキ氏は「河川系が干上がり、動物たちは危険な状況に陥っている」と懸念する。

 ボツワナの野生カバの生息数は世界有数で、国際自然保護連合(IUCN)の推計では2000~4000頭とされる。

 モセキ氏は「河川系の植生は乏しいため、ンガミランド(Ngamiland、ボツワナ北部地域)のカバはオカバンゴ湿地帯水系を流れる水に依存している」と説明した。泥にはまって死んだカバの数についてはまだ調査中だという。

 カバの皮膚は厚みはあるがデリケートで、通常は湿潤地域に生息し、日焼けを避けるために定期的な水浴びを必要とする。水がない環境では攻撃的になったり、人里に近づいたりすることもある。地元当局は人との衝突を避けるために、カバを保護区へ戻すことを要請している。(c)AFP