【10月23日 AFP】ウクライナの首都キーウの書店で、ユリア・シドレンコさん(33)は古本をまとめて処分していた。中には幼なじみにもらった本もあったが、最近になって魅力がなくなってしまったという。

 理由は、ロシア語で書かれた本だからだ。

「2月24日以降、わが家にロシア語の本を置いておくスペースはもうありません」と、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領がウクライナ侵攻を開始した日を挙げた。

 大切にしていた本もある。「20歳の誕生日に友人たちから寄せ書き入りでもらった本です。(思い出として)写真を撮りました」。さらに児童書を手にし、自分の子どもたちは「ロシア語の物語は絶対に読まないはず」だと話した。

 この書店には、シドレンコさん以外にもたくさんの本を運び込む人が次々と訪れていた。スーツケースを携えて来る人や、車に積んで来る人もいる。

 同書店は自宅で要らなくなった蔵書を処分したいという顧客の要望にヒントを得て、ロシア語の本を古紙としてリサイクルに回すキャンペーンを始めた。

 店主のイリーナ・サゾノワさんはAFPに「2か月間で25トンの本が持ち込まれた。リサイクルして10万フリブナ(約40万円)になった」と話した。この資金はウクライナ軍に役立ててもらうために寄付するという。

 2014年にロシアがウクライナ南部クリミア(Crimea)を併合し、東部ドンバス(Donbas)地方で親ロシア派との戦闘が始まってから、ウクライナは旧ソ連時代の記念碑などを撤去し、地名も変更してきた。

 しかし今年の2月以降、公共または私的な空間におけるロシア的要素の排除についても議論されるようになった。