【9月21日 AFP】中国に進出している欧州企業の団体である中国欧盟商会(Chamber of Commerce in China)は21日、柔軟性も一貫性もない同国の「ゼロコロナ政策」により欧州企業の活動が損なわれているとする報告書を公表した。欧州企業の対中進出は「当然のこと」と見なすのはもはや不可能と警告している。

 報告書は、中国政府の厳格な新型コロナウイルス対策によって同国経済は阻害されており、国際社会からの孤立を招いているとしている。

 中国は主要国で唯一、新型コロナの根絶を目指しており、ロックダウン(都市封鎖)や大規模検査、長期間隔離などの措置を実施している。

 それに伴い企業が破綻したり、世界のサプライチェーン(供給網)が混乱したりしているものの、習近平(Xi Jinping)国家主席は、中国の政策は「経済的かつ効果的」だと主張している。当局はゼロコロナ政策をいつ緩和するか明らかにしていない。

 報告書は、ゼロコロナ政策は「不確実性が極めて高い」と批判。75%の会員企業の事業に悪影響が及んでいるとしている。

 その上で「中国の事業環境についてはロックダウンの脅威が存在する限り予測不能だ」と指摘。ゼロコロナ政策は「柔軟性に欠け一貫性もない」とし、イデオロギーが経済に優先しているようだと警告している。

 報告書によると、4分の1近くの会員企業が中国からの撤退もしくは投資計画の停止を検討している。これは過去10年間で最も高い割合という。

 中国欧盟商会のイェルク・ブトケ(Joerg Wuttke)会頭は報告書で、新型コロナ流行前の「常態」に戻っている国が多い中、中国はいまだに正常化をためらっていると指摘した。

 第2四半期の中国の経済成長率は、新型コロナ対応に伴う各種の制限措置により事業閉鎖やサプライチェーンへの影響があったため、0.4%にとどまった。政府は今年の成長率目標を5.5%前後としているが、市場関係者は、実際の成長率は目標を大幅に下回ると予想している。(c)AFP