【5月11日 AFP】世界保健機関(WHO)は10日、新型コロナウイルスの感染を徹底的に封じ込める中国の「ゼロコロナ」政策を批判した。これを受けて中国当局は翌日、直ちに検閲に乗り出し、同政策に関するインターネット上の意見や議論を削除した。

 WHOのテドロス・アダノム・ゲブレイェスス(Tedros Adhanom Ghebreyesus)事務局長は、感染力の強い変異株の出現が続く中、ゼロコロナ政策は「持続可能ではない」として、中国に方針転換を呼び掛けた。

 これを受けてインターネット上ではゼロコロナ政策に疑問を呈するコメントが相次ぎ、「WHOのテドロス氏でさえ意見を変えた」「政府はWHO事務局長の勧告を聞くだろうか」といった声が上がっていた。

 中国当局はテドロス氏発言の削除を急いだ。発言に関して活発な議論を呼んでいたソーシャルメディア上のハッシュタグは、11日午前のうちに使用できなくなった。

 中国では、感染拡大防止対策に対する怒りと不満が広がっている。特に上海では、終わりの見えないロックダウン(都市封鎖)や厳格な隔離措置などに批判が噴出。中国本土では異例の抗議デモや警察との衝突も起きている。(c)AFP/Matthew WALSH