【9月11日 AFP】ウクライナ軍は10日、東部ハルキウ(Kharkiv)州で電撃的な反攻作戦により同州の広域を奪還したと発表した。一方、ロシア軍は同州から部隊を撤退させ、ドネツク(Donetsk)州に再配置すると明らかにした。

 ウクライナ当局によると、同軍はハルキウ州クピャンスク(Kupiansk)を奪還。7月に激戦の末ロシアに占領されたルガンスク(Lugansk)州リシチャンスク(Lysychansk)にも迫っている。

 ウォロディミル・ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領は10日夜、ウクライナ軍が「9月初めからこれまでに約2000キロの領土を解放した」と演説。面積を指しているか明言しなかったが、同軍のワレリー・ザルジニー(Valeriy Zaluzhny)総司令官は8日時点で1000平方キロを奪還したと語っていた。

 大統領は「ここ数日間、ロシア軍はわれわれにとって好都合の面を見せてくれた。それは背中だ」「ウクライナに占領者の居場所はない。この先もずっとだ」と述べた。

 ロシア国防省は同じく10日夜の声明で「(ハルキウ州の)バラクリヤ(Balakliya)とイジューム(Izium)に駐留していたロシア軍部隊を再編し、ドネツク州の前線を補強する決定がなされた」と発表した。

 両国の発表は、ここ数か月にわたりロシア軍の優勢が伝えられてきたウクライナ東部の情勢に大きな変化が起きていることを示している。東部の親ロシア派指導者によれば、ロシア軍はドネツク州の複数の地域でウクライナ軍に「苦戦」している。

 ウクライナ軍がイジュームを奪還したとの公式発表はまだないが、ソーシャルメディアでは市内に入ったウクライナ兵の映像が多数確認できる。ロシアの観測筋は、ロシア軍はイジュームからすでに撤退したとの報告があったとしている。

 クピャンスクやイジュームといった要衝都市を失ったことで、東部戦線におけるロシア軍の補給線は深刻な打撃を受けるとみられ、東部での勢力が著しく低下する可能性がある。

 ウクライナ軍は南部戦線でも前進を続けていると発表。一部地域では数十キロにわたり前線を押し戻したとしている。(c)AFP/Emmanuel PARISSE with Stanislav DOSHCHITSYN in Kyiv