【9月2日 CNS】中国では近年、市民の間でフィットネス文化が浸透している。中国政府も国民の健康増進のため奨励。2008年に開かれた北京夏季五輪の開幕日に合わせ、毎年8月8日を「全民健身日(国民フィットネスデー)」に定めている。

 コロナ禍が拡大して以降、中国各地のフィットネスクラブは利用が制限され、閉鎖も相次いだ。市民はステイホームを余儀なくされる中、「おうちフィットネス」へ移行する人が増加。ニンテンドースイッチ(Nintendo Switch)専用ソフトの「リングフィットアドベンチャー(Ring Fit Adventure)」や、全身鏡に最新テクノロジーを内蔵したフィットネスミラーなどの製品が発売されている。フィットネス界のドイツ人スター、パメラ・ライフ(Pamela Reif)さんや台湾出身の歌手・俳優、劉畊宏(Will Liu)さんのオンラインフィットネス配信は人気となっている。劉さんは上海市に住み自宅待機が続いた4月、30日間で30回のライブ配信を行い、動画投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」で5000万人のフォロワーを獲得したという。オンラインフィットネスは市民権を得て、自宅で体を動かすための設備や道具も爆発的に売れている。

 最近発表された「2022国民フィットネストレンドレポート」によると、2021年末段階で定期的に運動に参加する人の割合は37.2%に上り、2025年には38.5%、2035年には45%に達する見込みという。

 フィットネスブームの背景には3つの要素が挙げられる。第一に、中国政府の後押しだ。2021年8月、定期的に運動に参加する人の割合を増やす「国家フィットネス計画 (2021〜2025)」を発表。スポーツ公園を各地に作るなどの目標を掲げ、国内スポーツ産業の規模を5兆元(約100兆円)に引き上げる。

 第二は、経済的要因。コロナ禍の下でもフィットネス業界は発展を続けており、オンラインフィットネス向けに最新技術を投入した製品が開発されている。

 第三は文化的な背景だ。古代中国で知識人階級が学ぶべき教養とされた「礼・楽・射・御・書・数」の「六芸」のうち、スポーツの要素として射(弓術)と御(乗馬)が入っている。中国では伝統的に知識や道徳と共にスポーツが重視されてきた。

 現在のフィットネスブームはさまざまな要素の結合であり、国民の健康レベルの向上につながっている。(c)CNS/JCM/AFPBB News