【5月15日 CNS】中国・山東省(Shandong)済南市(Jinan)の会社員、宋芳(Song Fang)さんは週末、自宅でヨガトレーニングをすることが習慣となった。コロナ禍で中国各地のスポーツジムが閉鎖された時期を経て、ジム通いをしていた人は「宅トレ」に励むようになった。宋さんは「新型コロナウイルスの流行は繰り返し続くけど、宅トレなら影響がありません」と話す。

 米国のオンラインフィットネス「ペロトン(Peloton)」や中国のフィットネスアプリ「Keep」の利用者はコロナ禍で急速に広まり、ショート動画投稿プラットフォーム「抖音(Douyin)」や「快手(Kuaishou)」ではフィットネス関連の動画が増え続けている。

 中国国家体育総局は2020年、「家庭での科学的フィットネスの推進に関する通知」を発表。新型コロナ拡大中も市民のフィットネス需要を満たすため、各地の体育関連部門が「宅トレ」を積極的に提唱するよう求めた。山東体育学院(Shandong Sport University)の朱学強(Zhu Xueqiang)准教授は「移動時間の制約がない自宅フィットネスはより多くの愛好家の選択肢になるだろう。体力強化だけでなく、家族のコミュニーケーション強化にもつながる」と話す。

 狭い居住スペースでは激しい運動は難しいのが難点だが、朱氏は「ヨガやスクワット、小さな器具を使った運動などは可能だ」と指摘。実際、オンラインショップではダンベル、弾性バンドなどの小型フィットネス器具の売り上げが月間3万個を超えている。投資金融コンサルティング会社「灼識咨詢(China Insights Consultancy)」によると、2021年末までに中国のフィットネス市場の規模は7866億元(約15兆1304億円)に達し、そのうちオンラインフィットネス市場は47%を占め、2022年にはオフライン市場を超えるという。さらに中国のフィットネス市場の規模は今後5年間、年間平均13.5%の成長率で1兆4793億元(約28兆4546億円)に拡大し、世界市場シェアの約20%を占めると予測する。

 コロナ禍が収束すれば従来のジム通いも復活するとみられるが、宅トレも新しいライフスタイルとして定着しており、中国のフィットネス業界は多様なビジネスシーンが広がっていきそうだ。(c)CNS/JCM/AFPBB News